近年、日本では地球温暖化などに伴い、自然災害の被害が年々拡大しています。
その中でも、特に河川やため池、ダムなどの社会インフラ設備への対策は急務になっています。
これらの設備は、一般的に大型なものがほとんで取り換えることも容易ではないので、基本的には必要な部分を補修しながら対策していくことになりますが、これらの設備の多くは既に設置から時間が長く経過しており、老朽化による故障なども多く発生している現状があります。定期点検なども有効な手段ではありますが、対応箇所が多く、また作業員のコストもかかり、費用の観点で対策が困難になっているという課題があります。
このケースでは、IoTシステムを活用することで、作業員の負担を減らした効率的な防災対策を取ることが可能になると考えられます。今回は特に河川の監視という観点でのIoTシステムの活用を考えてみます。
河川に設置するIoTシステムの要件として考えるポイントは、取得するデータは何か、無線技術として何を使うか、電源をどう確保するか、クラウド側での分析方法、そして分析したデータをどう扱うかになります。
先ずは取得するデータについてですが、一般的に河川監視の場合は水位計、雨量計などを使うことが一般的ですが、合わせてカメラデバイスからの画像、映像を利用することが考えられます。
次に無線技術に関してですが、一般的に河川監視などは人のいない地域などに設置することがほとんどです。そういった地域に関しては、SigFoxやLTE-M、NB-IoTなどの広域エリアをカバーする無線技術が適していますが、特に山間部などはSigFoxのエリア構築がない場合も多いため、モバイル回線を使用することがより適していると思われます。
IoTデバイスの電源については、方法としてはいくつか考えられますが、最も簡単な方法としては、外部電源が取れるのであればそれが一番の選択肢になります。そうでない場合には、ソーラーパネルと充電池を利用する方法か、もしくは取得するデータ量や頻度を絞る必要がありますが、完全電池駆動なども検討できるでしょう。
取得されたデータはクラウド側に蓄積されることになりますが、この時点で一旦はデータの中央管理、可視化はできるようになっていると考えられますので、これにさらに付け加えるとすれば、収集したデータを自動的に解析し、閾値を超えた場合には警報を出したり、担当者にメールを送信するなども仕組みも実現することができるかと思います。
これらのIoTシステムを活用することで、河川管理を担う自治体では、防災監視に関わる業務を効率化させることができ、属人化されていた業務をより少ない作業員で対応することができ、結果として作業員の工数の削減と、リアルタイムでのデータ収集における実環境に応じた対策を素早く対応することによる自然災害への被害を抑えることができることが期待できます。
IoTシステムの導入は、自治体などにおける効率的な自然災害への対策として重要かつ有益な手段であり、作業員の負担軽減と実状況に応じた素早い対応が可能になります。
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