この記事ではTP-LinkのメッシュWi-Fi、DecoシリーズからエントリーモデルのメッシュWi-Fi 、Deco S7をレビューしていきたいと思います。

メッシュWi-Fiって最近よく聞くけど、正直、一戸建てじゃないからいらないかな。。
機器も2台以上必要になるので、置き場所や価格がネックかな
2LDKのマンションで、直近までWi-Fi6のルーターを使用していたのですが、今では2LDK位のマンションにこそ、このエントリーモデルのメッシュWi-Fiをお勧めしたいな、と思っています。
今回はWi-Fi6ルーターとメッシュWi-Fiルーターとの比較も交えて、どちらの機能を優先して買うべきかについてもレビューできればと思います。


TP-Link(ティーピーリンク)とは?
先ずはTP-Linkとは?というところから始めていきますが、正式にはTP-LINK Technologies Co., Ltdという名前の会社で、中国のハイテク産業都市でお馴染みの深圳に拠点を置く会社になります。
主に小規模な店舗や、個人向けのネットワーク機器を製造・販売している会社になります。
特徴としては、コスパの良いWi-Fiルーター、メッシュWi-Fiを数多く販売していることですね。
TP-Link製品については、以下の記事にてまとめています。


Deco S7の外観
それでは早速開封~外観を確認していきましょう。
同梱物は本体とアダプタのセット×2とマニュアルだけです。


カラー展開はホワイトのみ、サイズは90.7 × 90.7 × 162.3 mmで500mlの缶を少し太くした位です。重さは350g程度で、思ったよりも軽い印象です。側面はマットな質感の白で上部と、下部は黒になっています。


初めて見る人には、Wi-Fiルータには見えないかもしれません。




背面はスリットとLANポートが3つあるだけの非常にシンプルな構成となっています。
LANポートはすべてLAN/WAN兼用になっており、ルーターを置く場所やLANポートの使用状況によって、WANポートを変えられるのは、うれしいですね。
Deco S7のポイント
それではここでは、Deco S7のポイントいくつかピックアップしておこうかと思います。
Wi-Fi5だけどスペックは十分
先ずはDeco S7は、実はWi-Fi5ルーターになります。
今年2022年から発売されているモデルのほとんどWi-Fi6ルーターと呼ばれる、802.11ax対応のルーターになりますが、Deco S7は802.11acまでの対応になります。
では、この違いはスペックだけで比較しておくと以下のような感じです。
Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 | |
---|---|---|
最大通信速度 | 6.9 Gbps | 9.6Gbps |
対応バンド | 5GHz | 2.4GHz /5Ghz |
同時接続方式 | OFDM | OFDMA |
MU-MIMO | Downlink | Downlink & Uplink |
これを見て、なるほどとよくわかったと思える人は、相当な無線通な方かもしれませんが、簡単に言えば最大速度が1.4倍、2.4Ghzに対応、同時接続数が増えたということです。
とはいえ、最大速度を見てもそもそもWi-Fi5でも十分すぎるスピードですし、さらには自宅に使う分にはせいぜい2〜3台が同時に通信すると考えれば、Wi-Fi5でも十分な使用感(速度体験)が出せるといえます。
メッシュWi-Fi2台で1万円台は破格!
そしてDeco S7の一番のポイントとも言えるのが、その値段帯です。
なんと、2台で1万円前半クラスの値段になっていて、下手なWi-Fi 6ミドルクラスのルーターを買うよりも部屋のサイズによってはこちらの方が圧倒的に使い心地が良いはずです。


因みにWi-Fi6対応のDecoシリーズにX20のルーターがありますが、スペックで比較すると実はDeco S7と同等クラスもしくはS7の方が優っている部分が多いです。
どこに置くのにも困らないデザイン
サテライトルータの置き場所はメインルータから見通しがよいところと、コンセントの差込口がある場所、あまり主張しないところ、カバレッジの弱い場所を保護できる場所、などを考慮して、玄関の下の位置に置くことにしました。


なんとなく、コンセントタイプの消臭剤なのかな?という風に見えなくもないですね。
こんなところに置けてしまうのも、Deco S7の見た目が、今までのような無骨なデザインではなく、インテリアと一緒に馴染むようになっているからですね。
Decoアプリでのセットアップが簡単
Decoのセットアップは専用のアプリから行います。PCを使わずに、スマホやタブレットにアプリを入れれば、あとは直感的に設定していくだけで、サクッと5分くらいで設定が完了しちゃうのは、感動すら覚えます。
以下はDecoのセットアップ方法になります。
セットアップはTP-Link Decoアプリから進めていきますので、以下からアプリをダウンロードしていきます。
TP-Linkのスマートデバイスを初めて使う場合には、まずはTP-Linkアカウントから作成していきますが、このアカウントはDecoアカウントというわけではなく、TP-Link IDになります。


そのためTP-LinkのスマートカメラTapoなどで、既にアカウントを作成済みであれば、同じものが使えるので注意してください。
ここからは基本的にアプリのフロー通りに進めていけばほとんど迷うことはないですが、セットアップが必要なのはメインルーターのみになります。
サテライトに関しては、メインルーターの設定の最後に”追加”するような形で済ますことができます。
Deco S7を選択して次に進んでいきましょう。


Decoの設定は、アプリとDecoを繋いだ状態で、SSIDやパスワードを設定していくような形になります。


SSIDの名前に関しては、自分が好きなように自由に設定することが可能です。
ルータを買うのが初めてでないなら、前のルータのSSIDを使うというのも手です。これを行っておくことで、設定完了後に家じゅうのWIFI接続機器のSSIDとパスワードの再設定という手間が省けます。
これでメインルーターの設定が完了したので、あとはサテライトデバイスを追加するのですが、サテライトの追加は驚くほど簡単です。


単純にメインルーターの範囲内でサテライトの電源を入れれば、それでおしまいです。
このTP-LinkメッシュWi-Fiの設定は本当に簡単ですね。
アプリにDecoが登録されて、SSIDのネットワークが作られれば基本的にはOKです。
ただ以下の設定だけは必ずやっておくことをお勧めします。
- 最新ファームウェアへのアップデート
- LEDコントロールで深夜帯のLEDオフ
- ネットワークの最適化
ネットワークの最適化は周囲のチャネル混雑状況を調査して、最適な電波環境に調整してくれる機能なので、一度はやっておくと電波環境が安定します。


セットアップの時間は、慣れれば本当に数分で完了すると思います。
本当にこのアプリでのセットアップというが便利で良いですね。
実際のスペックはどれぐらい?
それではここでは実際にDeco S7を使用してみて、その実測値を測ってみます。
遅延/速度の実測値
我が家での設置環境の場合のレイテンシー(NW遅延)とWi-Fi速度を測ってみました。
実測値 | TP-Link Deco S7 |
---|---|
レイテンシー (PC-ルータ間) | 平均1.00 ms |
Wi-Fi速度** | 16.1 Mbps |
レイテンシーに関しては、5ms未満になっているので、全く問題ありません。
一方でWi-Fi速度は、実際にPCやスマートフォンで使用した限りでは、全く問題にはならなかったです。一般の回線速度を測定できるサイトでは、140Mbps程度出ていました。特に、ビデオ会議や動画を見ていても困ることはない速度ですね。


カバレッジを計測してみる
カバレッジに関しても計測してみました。
我が家は、2LDKでルータはメインで使う南側の書斎にあります。書斎の隣はリビングなので、メインで使う南側のカバレッジは全く問題ないのですが、シングルルータの場合では反対の北側の寝室や浴室ではカバレッジが取りづらい環境でした。




今回、メッシュWIFIにしてみた結果は下記のようにカバレッジが劇的に良くなったことが確認できました。
今回のツールでは、RSSIという値で-30dBm~-40dBmの範囲であればとても安定していることになります。逆に-100dBmなどの低い値は電波がとても弱い状態になります。今回は寝室も浴室も満遍なく電波が行き届いていることがわかります。
浴室や寝室はメインでWIFIを使うことはないから、カバレッジが届かなくてもまぁいいかな、と思っていましたが、やはり家の中でいつでもどこでもつながっていないのは、少し不便ですね。
例えば、体調悪かったりして寝室で寝ながら、スマホ見ているときWi-Fiが届かずキャリア回線の5Gにつながっていたり、ということがよくあったりします。
寝室側の速度で比較しても下記のように早くなっています。




AX55(Wi-Fi 6ルーター)とDeco S7(メッシュWi-Fi 5)の違いは?
ここでは、2021年12月に発売されたWi-Fi6に対応したシングルルータのArcher AX55とDeco S7を比較してみましょう。
先ずはスペック的な比較として、ポイントだけ絞って比較をしてみました。
スペックで比較するとWIFI6、USB対応、IPv6対応などAX55のほうが機能面で充実しており、価格もお手頃なので、お得感があるかもしれません。
しかしながら、私は今回Deco S7を使ってみてやはり、2LDKマンションにはメッシュWi-FiのエントリーモデルDeco S7が最適なのではないか、という結論になりました。
なぜなら、通常使う分には速度や機能の充実性よりもWi-Fiカバー率の方が重要になるからです。(カバレッジの改善は前述の通りです。)
Wi-Fi6はIEEE 802.11axという規格ですが、2.4GHz帯/5GHz帯両方の周波数帯を使うことができ、最大9.6Gbpsもの速度を無線で出せることになります。
世代 | 規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|---|
第1世代 | IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz帯 |
第2世代 | IEEE 802.11a IEEE 802.11b | 54Mbps 11Mbps | 5GHz帯 2.4GHz帯 |
第3世代 | IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
第4世代 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
第5世代 | IEEE 802.11ac(Wi-Fi5) | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
第6世代 | IEEE 802.11ax(Wi-Fi6) | 9.6Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
しかしながら、現在の家庭用ひかり回線は一般的に1Gbpsの回線が主流であり、実際のWi-Fiの用途として、1Gbps以上の速度が必要になることは稀ではないかと思われます。
(高速な処理が要求されるオンラインゲームやデイトレードなどの用途で、2Gbps以上のひかり回線、高機能ルータなどが必要になることはあると思います。)
我が家にも20台近いWi-Fiデバイスが常に接続していますが、多く見積もっても常時使う処理としては、300Mbpsもいかないと思われます。
そのため、私も一度はWi-Fi6を試したくて導入してみたのですが、結果的に今回Wi-Fi5のメッシュWi-Fi Deco S7で十分だと思うようになりました。
また、Wi-Fi6は、クライアント側からみるといつもの11acのSSIDにつながっているように見え、今、実際自分がWi-Fi6でつながっているのか、正直わかりづらいです。(一部のルータではルータ側で接続規格がわかるものもあります)
そのため、Wi-Fi6としてのメリットも実感しづらいので、Wi-Fi5になったところで特に何も不自由を感じませんでした。
IPv6に関しても同じようなことが言えて、私はIPv6対応の楽天ひかり回線を使っていましたが、IPv4になったところで速度が安定していれば不便はないです。



勿論、現状、速度の面で思うように出なかったり、不満がある場合は、Wi-Fi6やIpv6化を検討してみることは手段の一つだと思います。
機能の面でも、私自身が仕事でネットワークの仕事をしていることもあり、AX55に比べると、Deco S7の機能は少し物足りない気もしますが、ルータ本来の役割でいえば、メッシュW-Fiになったことでカバレッジがよくなり、断然便利になっと思います。
最後に、サイズ感、見た目としては、やはりシングルルータのAX55のほうは、アンテナが目立つ形で、場所も少し取ります。


アンテナがなくても、S7はビームフォーミングには対応しているので、さほど困ることはありません。
まとめ|2LDK〜50平米程度のマンションでは、メッシュWi-Fiが最適!
今回はTP-LinkのDeco S7をレビューしてきました。


- メッシュWI-Fiのメリットを実感するエントリークラスのスペックとしては十分
- シンプルな機能で、ホームIoT環境に最適
- 見た目がスマートで目立たない。
- WiFi6/IPv6に対応していない
- USB機器は接続できない
全体的に機能は最低限に絞られていますが、価格も抑えめでメッシュWi-Fi試してみたいけど、なかなか手が届かないと思っている方にぜひ試してみてほしいです。Wi-Fiはもはや生活インフラなので、カバレッジが上がるとQoLが上がるといっても過言ではないと思います。
それでは、皆さん是非参考にしてみてください。
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