この記事では、TP-Linkから2023年5月に発売されたWi-Fi 6E対応のハイエンドメッシュルーターであるDeco XE200についてレビューしていきたいと思います。
iPhone 16 ProからWi-Fi 6Eが標準サポートするようになり、ついに6Eの時代が始まりそうな予感がしてきましたね。
というかそもそもWi-Fi 7が始まるのかと思いきや、日本の電波法の関係もあり、ほとんど普及してなかったという状況の中で、どうにか6GHz帯の運用が先に始まるという感じなんでしょうかね。
これからWi-Fi を買い替える人で、Wi-Fi 6Eにするかどうか悩んでいる人には、是非この記事でWi-Fi 6Eメッシュルータの実力を感じてもらえたら嬉しいです。
それでは早速レビューしていきたいと思います。
TP-Link Deco XE200の外観|デカいぞ。旧モデルからサイズアップ。
先ずは外観から確認していきます。
いつもながら外装の箱はかなり大きいですが、値段だけ見ればかなり高級品ですからこれぐらいあってもいいかもしれませんね。
中には、XE200が鎮座しています。
この段階で、心なしかちょっと大きいかなと思ったのですが、実は結構サイズが大きくなっていることに後ほど気づきました。
正面のロゴに、しっかりとdeco 6Eと書いてありますね。
Wi-Fi7の場合は、”deco7”って書いてあるんでしょうかね。
2つ並べてみるとこんな感じです。
Deco X95の時も大きいなーと感じたものですが、今回も結構デカいですね。
後ろをみると、しっかりと10Gbpsポートにグレードアップしていることがわかりますね。
素人実測で、上部が約15cm。
高さが約25cm弱ですね。
今まで使っていたX95と同じサイズかなとと思ったのですが、直径に関しては同じでしたが、高さが約 3cm程度高くなっていました。
以前の収納スペースは高さが既にギリギリだったので、このまま設置できなかったのですが、どうにか倒して設置しました。
TP-Link Deco XE200のポイント
ここからは、TP-Link Deco XE200のポイントをピックアップして紹介していきます。
Wi-Fi 6Eとは何か?
先ずそもそもWi-Fi 6Eというものを簡単に解説していきます。
以前Wi-Fi 6Eについて説明した記事がありますので詳細は以下を参照ください。
Wi-Fi 6E (Extended)という規格は、基本的にはWi-Fi 6 (802.11ax)と同じ規格になります。
ただ通常Wi-Fi用の周波数帯として使用されている2.4 GHz及び5 GHzのISMバンドに加えて、以前から固定通信/衛星通信、放送通信中継で使われていた6 GHz帯を追加したものです。
そのため、変調方式などは全く同じで、あくまでも周波数帯が増えたということになります。
但し、単に3つ目が増えただけでしょ?という思っている人はこれをみてください。
2.4 GHz | 100 MHz幅 (20MHz x 5 チャネル) |
---|---|
5 GHz | 460 MHz幅 (20MHz x 23チャネル) |
6 GHz | 500 MHz幅※ (20MHz x 24チャネル) |
基本的に周波数というのは、どのバンドを使うかどうかではなく、チャネル数が重要になります。
そのため、今まで 28 チャネル(560MHz)だったのが、一気に24チャネル増えてほぼ倍になります。つまり無線として飛ばせるデータ量、データ速度を一気に増やすことができるというわけですね。
技術スペックはWi-Fi 6Eの中でも最高峰
XE200 | |
---|---|
イメージ | |
クラス | ハイエンド |
対応バンド | トライバンド |
対応規格 | Wi-Fi 6E |
Wi-Fi速度 | 6GHz:4804Mbps 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:1148Mbps |
内蔵アンテナ数 | ハイゲインアンテナ×16 |
MU-MIMO | 16 ストリーム |
CPU | 2.2GHzクアッドコアCPU |
有線ポート | 10Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 |
購入先 | Amazon |
正直ここまでのスペックが必要なのかと思ってしまうかもしれませんが、確かに去年までは絶対不要だと私も断言していたでしょう。おそらく”5400″モデルでほとんどの家庭が満足できたはずです。
ただ、おそらく来年以降のパソコン及びスマホなどのデバイスに関しては、Wi-Fi 6Eが標準になっていきます。というよりも、もう既にWi-Fi 7 (802.11be)が既に出てきていることを考えると、6GHz帯の普及自体は一気に広まっていくことが考えられます。
そうなってくると、6GHz帯が当たり前になってくることを考えると、2401 Mbpsが最高速度となると、微妙なラインになってくると思われます。というのも無線規格的にはスペック上 2401 Mbpsだとしても実効速度は半分というのが当たり前です。
そのため、本当に速度を上げたいと考えるのであれば、4804 Mbpsが仕様上の最大として、実効速度 2Gbps の方が現実的です。
確かに少々もうWi-Fi 6Eなのか!?と思ってしまうかもしれませんが、来年以降を見据えて今年買い替えるつもりであれば、Wi-Fi 6E で 最大 4804 Mbpsというのは狙って良いスペックだと思います。
Wi-Fi 6Eをバックホールとして使用する意味
それでは、今年という観点で、まだまだ6E対応デバイスが少ない中で、敢えてWi-Fi 6EのメッシュWi-Fiを手にいれる意味としては、完全にバックホールとして利用になります。
バックホールというのは、メッシュWi-Fi間の通信のことで、この通信を安定的に最高速度で通信させることで、家中のWi-Fi環境を爆速かつ安定化させることができます。
例えば、デュアルバンドでメッシュWi-Fiを組むとなると、以下のように5GHz/2.4GHzをスマホとの通信と共用化させることになります。
これにより、Wi-Fiルーターの無線リソース使ってしまい、結果的に速度が下がる原因になります。
一方で、トライバンドメッシュWi-Fiに関しては、このメッシュルータ間の速度が専用線のような形で、6GHz帯を使用することができます。
これにより、スマホ・パソコンとの通信に5GHzを集中して使用することで、結果的に複数端末との高速通信が安定的に利用できるというわけです。
10Gbpsの爆速LANポート
10GbE(ギガビットイーサ)対応というのは恐ろしいですね。
10GBASE-Tというのは、光ブロードバンドで使用される1Gbpsの10倍ということです。
因みに一昔前のブロードバンドで使われたADSLは100Mbpsで、今でもマンションの多くで使われているVDSL方式でも基本的にインターネット側は100Mbpsになっている世帯が多いです。
戸建ての場合や、最近のマンションであれば光通信が各部屋までに引き込まれる場合があり、その場合であったとしても、通信速度は最大1Gbpsです。
では、そもそも1Gpbs以上必要なのかという部分ですが、先ずはそもそもインターネット速度を2G/5G/10Gbpsで契約している人ですね。
今現在2Gbps以上の光回線を提供している事業者は、調べた限りでJ:COM NET光とNURO光の2つだけですね。
- J:COM NET光 10・5・1ギガ
- NURO光
- ビッグローブ光 10ギガ
インターネットゲームなどの大容量通信を頻繁に利用する人であれば、こういったプランを契約した上で、爆速無線を使うことで、場所の制限なく使えるというメリットは大きいかと思います。
それ以外では、LAN内での爆速通信に利用するケースです。
特に事業用に使用しているNASなどのサーバは、ルーターと有線で接続しているケースが多いと思います。そういった場合にNAS/サーバとの通信ポートに10GbEを使用することで、ストレスなく、LANでの動画編集、写真編集をオンラインで実施することができるかと思います。
他メッシュWi-Fi、Wi-Fi 6Eルーターとの比較
TP-Linkの他のDeco メッシュシリーズや、他社のWi-Fi 6EルーターとXE200を比較していきたいと思います。
スペックで比較する
先ずはスペックで比較しています。
これはもうスペック上、明らかですが、XE200に関してはWi-Fi 6Eまでのデバイスの中で、[update]時点で最高スペックのものになっています。
XE200 | XE75 | X95 | X50 | X20 | |
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イメージ | |||||
クラス | ハイエンド | ミドルエンド | ハイエンド | ミドルエンド | ローエンド |
対応バンド | トライバンド | トライバンド | トライバンド | デュアルバンド | デュアルバンド |
対応規格 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
Wi-Fi速度 | 6GHz:4804Mbps 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:1148Mbps | 6GHz:2402Mbps 5GHz:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:1201Mbps *W52のみ 2.4GHz:574Mbps |
内蔵アンテナ数 | ハイゲインアンテナ×16 | 4本 | 4本(端末用) 2本(メッシュ用) | 2本 | 2本 |
MU-MIMO | 16 ストリーム | 6 ストリーム | 8 ストリーム | 4 ストリーム | 4 ストリーム |
CPU | 2.2GHzクアッドコアCPU | 1.7GHzクアッドコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU (X20 V4の場合) | |
有線ポート | 10Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | ギガビットポート×2 |
購入先 | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
無線スペック上の最速であるのと同時に、LANポートにおいても最速です。
これだとあまり比較にならないので、他のメーカーで同スペックのルーターと比較してみました。
TP-Link XE200 | Buffalo WXR-11000XE12 | NEC Aterm AM-AX11000T12 | |
---|---|---|---|
イメージ | |||
クラス | ハイエンド | ハイエンド | ハイエンド |
対応バンド | トライバンド | トライバンド | トライバンド |
対応規格 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6E |
Wi-Fi速度 | 6GHz:4804Mbps 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:1148Mbps | 6GHz:4803Mbps 5GHz:4803Mbps 2.4GHz:1147Mbps | 6GHz:4803Mbps 5GHz:4803Mbps 2.4GHz:1147Mbps |
内蔵アンテナ数 | ハイゲインアンテナ×16 | 8 本 | 12本 |
MU-MIMO | 16 ストリーム | 12 ストリーム | 12 ストリーム |
CPU | 2.2GHzクアッドコアCPU | ||
有線ポート | 10Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | 10Gbpsポート×1 (WAN) 10Gbpsポート×1 (LAN) ギガビットポート×3 (LAN) | 10Gbpsポート×1 (LAN) ギガビットポート×1 (LAN) |
購入先 | Amazon | Amazon | Amazon |
スペックだけ見てみると、Buffaloのハイエンドルーターを比べると正直見劣りする部分はあります。
但し、個人的にはBuffaloのアンテナごりごりのデザインがあまり好きではないことと、さらにBuffaloの管理画面がイマイチ好きになれないという部分があります。
但し、やはり日本製が良いという人も多いとは思うのであとは好みの問題かなと思っています。
速度計測
次に速度を計測してみます。
測定アプリにはWi-Fiミレルというものを使っています。
速度の違いはほぼありませんね。
そもそも今回計測にしているiPhone 14 Pro 及び MacBook Pro M1 ProのWi-Fi仕様に関しては、Wi-Fi 6Eには対応していないので、どう頑張っても1.2Gbps以上は出ないということになります。
802.11規格、名称、周波数 | 最大PHYデータレート | 最大チャンネル帯域幅 | 最大MCSインデックス | 最大空間ストリーム |
---|---|---|---|---|
ax@6 GHz 以下でのモデル以降で対応 iPhone 16 Proモデル 16インチ、M2、2023 14インチ、M2、2023 | 2400 Mbps | 160 MHz | 11(HE) | 2/MIMO |
ax@5 GHz | 1200 Mbps | 80 MHz | 11(HE) | 2/MIMO |
ax@2.4 GHz | 195 Mbps | 20 MHz | 9(HE) | 2/MIMO |
因みにWi-Fi電波だけをチェックしましたが、確かに4803.9 Mbpsと1147 Mbpsをサポートしていることはわかりました。
その上で、600超 MbpsのWi-Fi速度が出ているのであれば、十分じゃないでしょうか?
Wi-Fiカバレッジ|1台運用との比較
Wi-Fiのカバレッジについても同様に確認していきます。
正直ここは全く期待していない(ほぼ同じだろう)と思っていたのですが、意外にもしっかり差が出ました。
パッとみた感じでも全体的に速度が速いことがわかります。
以下に平均速度を出してみました。これを見る限り、部屋全体で約 150 Mbps近く早くなっていることがわかりますね。
平均Wi-Fi速度 (合計11ヶ所) | |
---|---|
Deco X95 | 約 473 Mbps |
Deco XE200 | 約 639 Mbps |
これには、やはり6GHzの専用バックホールが効いてるんでしょうね。
正直ここまで差が出るとは思いませんでした。
因みに試しに、Deco XE200を1台動かしてみた場合と、2台で使ってみた場合で比較してみました。
正直XE200もスペック上は4LDKまで使えると書いてあるのですが、実際のところは設置場所によってパフォーマンスはかなり変わります。
今回のケースでも、設置場所から離れる従って、5GHzでの接続が難しくなり、ある部分を境に2.4GHzに切り替わってしまっています。
2.4GHzのWi-Fi速度は、実効速度50〜100Mbpsになってしまうので、今回の計測結果のような形になるわけですね。
TP-Link Deco XE200の気になるところ
ここでは、Deco XE200の気になるところもいくつかピックアップしていきます。
1Gbpsしか出ない?LANケーブルがボトルネックになることも
これはこのルーターがというよりもたまにNURO光などの超高速通信契約をしているにも関わらず、インターネット速度がいくら頑張っても1Gbpsが上限になってしまうという人がいます。
これは、そもそも使用しているLANケーブルの規格で1Gbps以上が出なくなっている可能性があります。
LANケーブルには実は規格が存在しており、以下のように最大速度が決まっています。
Cat. 5 | 1 Gbps |
---|---|
Cat. 5e | 1 Gbps |
Cat. 6A | 10 Gbps |
そのため、1 Gbps以上の速度を出したいという人は、LANケーブルに関してもしっかりと確認しておきましょう。
因みに同封されているLANケーブルはしっかりCat.6 のケーブルになっていましたね。
性能もUP、電気代もUP?
今回電源アダプタを持った時に少し感じたのは、その重さです。
なんか重いなーと思ったのですが、X95で使っていたアダプタを比べたら驚いたことに出力Aが変わっていました。
スペック値をみてみると、X95の最大消費電力は27~31Wになっており、XE200については45~50Wと約 20Wも上がっていました。
これは、6GHzを使うことによる電流増加なのかもしれませんが、実際どの程度変わるのか計算してみました。
TP-Link Deco X95 | TP-Link Deco XE200 | |
---|---|---|
アンペア出力 | 2.5A | 4.5A |
最大消費電力 | 31 W (US) 27 W (EU) | 50 W (US) 45 W (EU) |
最大年間電気代 (1kWh = 27円) | 〜7,332 円 | 〜11,826 円 |
最大年間差分 | 〜4,494 円 |
すると、結構な額になりましたね。
もちろん最大消費電力になるので、実際には24時間最大電流で稼働しているわけではないので、もっと少なくなると思います。年間1,000円〜だと思いますが、とはいえこれだけ消費電力が上がってくるのも、技術の進化として仕方がないのかもしれませんね。
まとめ
今回は、TP-LinkのWi-Fi 6Eメッシュルーター、Deco XE200についてレビューしていきました。
- 最新Wi-Fi 6E対応
- 最高スペックWi-Fi
- 6GHz専用バックホール
- 10Gbpsポート
- Cat.6対応LANケーブルが必要
- 消費電力が大きい?
今まで実は6E対応のルーターは何回かレビューしてきたのですが、正直いまいちパッとしなかったという印象だったのですが、今回のデバイスに関しては過去一Wi-Fi 6Eの効果を実感できたデバイスだと思っています。
6GHz帯対応のデバイスを持っていなかったせいといえば、そうなんですが、バックホールに使うことでこれだけ全体的な速度が変わるとは思ってもいませんでした。
以前も何度も書きましたが、やはりメッシュルーターこそ、Wi-Fi 6Eが生きるというのは確実ですね。
安定性はもちろんのこと、実際に全体として速度が増えます。
これでインターネット回線を2Gbps以上にすれば、おそらく本当に爆速ゲームWi-Fiとして使用することもできるかと思います。
Wi-Fi 6Eのメッシュルーターで悩んでいる人は、是非このデバイスも検討してみてはいかがでしょうか?
ぜひ参考にしてみてください。
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