長年使ってきた愛用マウス「MX Master 3S」。
仕事でもプライベートでも毎日手に馴染んでいたのですが、ある日突然左クリックが効かなくなりました。
よくマウスでありがちなクリックしても反応がない、あるいは勝手にダブルクリックされる――いわゆる「チャタリング」と呼ばれる症状ではなく、今回に関しては完全なる死亡death。
本当に突然動かなくなったので、一瞬パソコンが壊れたのかと思って、何度も再起動させてしまいましたが、結果的に左クリックだけで完全に反応しなくなったので、これは確実に左ボタンが死んだという事ですね。

高級マウスなだけに、買い替えるのは少しもったいない。また正直MX Master 4がそろそろ出るということ知ってはいるんですが、発売までまだ1ヶ月程度あるし、そもそもこのマウス高いし、機能的にそこまでアップグレードされている訳でもないので、今回は自分で修理することを決意しました。
この記事では、実際に私が行った「MX Master 3Sのスイッチ交換」手順を、撮影した写真とともに紹介します。
分解やはんだ作業が初めての方でも、高価なマウスを買い替えずに延命できるうえ、DIY修理の楽しさも味わえます。
症状と原因 ― チャタリングの正体
MX Masterシリーズでは、長く使うとクリックの効きが悪くなることがあります。私の場合、徐々にダメになるというよりも、本当に突然死パターンでした。
そのせいで、マウスが壊れたというよりもパソコンが壊れた方を疑ってしまって、何度もパソコンを再起動してしまいました。
その後、マウスの左クリックのみが死んでいることはわかったのですが、原因を調べると、クリックを検出するマイクロスイッチが物理的に摩耗しているとのこと。スイッチ内部の金属バネが劣化して接点が不安定になることで、信号が誤動作するのです。
ネット上でも同様の報告がかなり多く出ており、特に海外での報告が多く上がっていました。
「Kailh 静音 マイクロスイッチ」などのマイクロスイッチに交換すれば直るとの情報を発見。さっそく交換用パーツを購入。
マウスは精密機器なので、内部を開ける際には静電気やネジ位置に注意が必要です。今回は、なるべく丁寧に工程を記録しました。
用意した工具と交換パーツ
今回の修理で使用した工具はこちらです。
- Hakko はんだごて
- はんだ吸い取り線及び半田線
- 精密ドライバーセット(+とトルクス)
- ピンセット、スパッジャー(ケーブル取り外し用)
- マイクロスイッチ Kailh 静音 マイクロスイッチ(互換品)
- マウスソールステッカー
部品と工具をすべて合わせても約3,000円前後で揃いました。ハンダゴテなどの工具を持っている人であれば、全部で1,000円以内に抑えら得れると思います。
一番重要なのはこのボタンです。
MX Master 3sでは、すべて静音ボタンになっているので、ボタンパーツも静音対応のものに変えてあげる必要があります。
また静音ボタンというジャンルであればなんでもいいわけではなく、足が2つで、かつ高さが7.3mmのものじゃないと、外装を合わなくなるので注意が必要です。
いろいろ調べたところ、このボタンが互換品として使用されていたので、今回は同じようにこれを使うことにします。
また意外と忘れがちなのが、このシールです。
MX Master 3sは分解時に、裏面のステッカーを剥がすことになるので、修理をするたびにこのステッカーを購入する必要があるので、注意が必要です。
修理の流れ ― 分解から交換までざっくり紹介
それでは、実際の分解と交換作業の流れを紹介します。
まずは底面のネジを外します。MX Master 3Sは、ゴムシートの下にもネジが隠れているので、ピンセットでシールを少しだけめくります。


カバーを外すと、バッテリーとメイン基板が見えます。ここで焦ってケーブルを引っ張らないよう注意。細いフラットケーブルが繋がっているので、根元から丁寧に外します。


また作業中は、念の為バッテリーは外しておきました。


基板上にある黒いマイクロスイッチが今回の交換対象です。
古いスイッチをはんだごてで温めながら、吸い取り線で古いはんだを除去します。はんだが溶けると、スイッチが簡単に外れます。




続いて新しいスイッチを差し込み、正しい向きで固定します。接点がしっかり出ていることを確認し、軽くはんだを盛ります。ここで焦って熱をかけすぎないのがポイントです。


交換後は、スイッチのクリック感を確認。カチッとした感触が戻っていれば成功です。


最後にバッテリーとケーブルを元に戻し、カバーを閉じてネジを締め直します。
全体的に緩めから締めていくと、カバーのズレが防げます。
最後にクリックがちゃんと生きているか確認してみましたが、大丈夫そうですね。
修理してみてわかったこと
はんだごてを握るのは数年ぶりでしたが、思ったよりもスムーズに作業できました。
MX Master 3Sは内部構造が比較的シンプルで、はんだ箇所も見やすい位置にあります。
初心者にとって難しいのは、はんだ除去の段階。吸い取り線をしっかり押し当てて熱を伝えるのがコツです。焦らず、1点ずつ確実に仕上げていくと基板を傷めずに済みます。
今回の僕の半田はお世辞に綺麗ではないな。動けばいいのよ。


修理後のクリックは見事に復活。
新品時とほぼ同じ感触で、クリック音も心地よくなりました。チャタリングも完全に解消され、作業中のストレスがゼロに。
元々ついていたものをチェックしてみましたが、確かにクリックした感じが感じられなかったので、中のボタンが摩耗していたんでしょうね。


修理全体にかかった時間はおよそ1時間ほど。
最初は緊張しましたが、終わってみれば「思ったより簡単だった」という印象です。多分もう一度やれば、30分もかからないと思います。
まとめ ― MX Master 3Sは自分で直せる
今回の修理で改めて感じたのは、「MX Master 3Sは自分で直せるマウス」だということ。
クリック不良やチャタリングが起きても、スイッチ交換でほぼ確実に改善します。必要なのは少しの勇気と工具だけです。
修理費は交換パーツ費用だけで1,000円ほど、作業時間は1時間。買い替えに比べて圧倒的にコスパが良く、しかも自分で直した満足感は何物にも代えがたいものがあります。
DIY修理には失敗のリスクもありますが、その分成功したときの達成感は格別です。分解中の緊張や、はんだがピタッと固まった瞬間の嬉しさ――すべてが貴重な体験になります。
MX Masterシリーズは構造がしっかりしており、適切なスイッチを選べば長く使い続けられます。次にもしホイールやバッテリーが不調になっても、また自分で修理してみようと思います。
「壊れたら終わり」ではなく、「直して使い続ける」。そんな発想が広まれば、ガジェットライフはもっと楽しくなるはずです。
この記事が、あなたのMX Master 3Sをもう一度よみがえらせるきっかけになれば嬉しいです。









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