新しい機器を買ってきたときとか、友達が家に遊びに来た時とか、はたまた今まで繋がっていたのに急にインターネットが繋がらなくなったことってありませんか?
私もたまにあります。特に新しい家に引っ越して、新しいプロバイダと接続するときなんか、ちょいちょい起きます。
今回はこういった自宅でネット難民状態になったときにどう切り分けて直すかをネットワークエンジニアの視点で書いて行きたいと思います。
一言にネットが繋がらないと言っても、色んな理由があるんです。
先ずはインターネットが繋がらないとはどういう状態かを説明して行きます。インターネットに接続が出来ない状態はいくつかあるんですが、それぞれのケースでの確認方法と対処を書いてみたいと思います。
またそもそもインターネット自体よくわかんないんだけど?って方は以下を最初に読んでみてください。
https://simple-was-best.com/post-354/
「DNSサーバーは応答していません」という意味は?
そもそもDNSサーバの役割は、IPアドレスの取得になります。
つまり「DNSサーバーは応答していません」と出る場合には、「インターネットに接続できていない」という意味になるわけです。
DNSサーバが応答していないと出るときには、大きく2つの原因があります。
- インターネット側にあるDNSサーバがおかしい
- 自宅内のインターネットの設定がおかしい
1つ目のインターネット側のDNSサーバの問題の多くは、接続しようとしたURL(https://example.com)のサイトがそもそも閉鎖されてしまっていたり、DNSサーバ側の設定が間違っていることによるものです。
この場合は、残念ながらこちら側でなんとかできるものではないので諦めるか、接続先のサーバ管理者に問い合わせるしかありません。
後者の自宅内のインターネット設定が問題の場合は、これから説明する方法でなんとかなる可能性があります。
「DNSサーバーは応答していません」と出てしまう原因別対策
ここからは具体的な原因とそれぞれの対処方法について解説していきます。
【原因その1】IPアドレスが取得出来ていない
IPアドレスは住所です。IPアドレスがルーターから取得出来ていなければ、そもそも端末がルーターを見つけられていない可能性があります。先ず端末がIPアドレスを取得できているか確認してみましょう。
Windowsであれば

Macであれば

iPhoneであれば

Androidであれば

もしIPアドレスが取得できていないようであれば、DHCPサーバのチェックをオンにしてみてください。
【原因その2】DNSサーバが正しく設定できてない
DNSとは、Domain Name Service(ドメインネームサービス)の略になります。そもそもドメインとはというところなんですが、インターネットの世界では、IPアドレスが住所と言いました。
しかし正確に言えば緯度経度のようなもので、それだけでは人間の読みやすいものにはなって居らず、覚えづらいというデメリットがあります。またIPアドレスは数が有限です。IPv4であれば約43億個。
これを全世界で利用しています。但しIPv6であればほぼ無限(約340澗個!?)とも言えるんですが、此処では割愛しますね。その為、IPアドレスを使い回すという処理を各プロバイダで実施しているのですが、IPアドレスが変わるということは住所がコロコロ変わってしまうということになります。
そういった問題を解決するためにDNSという機能があります。例えば、googleにアクセスするときには、https://www.google.com/と書きますよね?でもこれも実際にはDNSサーバがIPアドレスに変換して、端末はIPアドレスにアクセスしているわけです。(これを名前解決といいます。)
なので、DNSが設定できていないと、名前解決出来ないわけですから、インターネットにも接続できないというわけです。
確認方法は一つの前のIPアドレスの確認方法と一緒です。
【原因その3】有線ケーブルの接続不良もしくはWiFiがオンになっていない
ここまでやってもまだ接続できない場合は基本に立ち返りましょう。IPアドレスよりもこっちの手順から確認することも場合によってはあります。
有線の場合
イーサネットケーブルが端末およびスイッチ、ルーター、モデムの全て正しく最後まで刺さっていることを確認して下さい。
モノを移動したときや、ぶつけてしまってうっかり抜けることもありますし、またケーブルのツメが折れてしまっている場合にはかなり抜けやすいので注意が必要です。
無線の場合
端末によって設定画面が変わるのですが、そもそもWiFi機能がオンになっているか確認してください。Windowsのいくつかの端末の場合、物理ボタンもある場合もあるので注意してください。

ソフト的にオンになっているか確認する方法としては、以下になります。
Windowsの場合

Macの場合

iPhoneの場合

Androidの場合

もしオフになっていたら、オンにして下さい。
【原因その4】ルーターの設定が間違っている
ここまで来ると端末の方に問題はなさそうなので、ルーター側を疑いましょう。
モデムールーター端末の接続の場合は、メーカーやルーターの機能にもよりますが、ルーター側で接続制限を掛けている可能性があります。例えば、MACアドレスフィルターといって、事前に登録した機器しか接続できないようにしているとか、こどもネットタイマーといって、事前に設定した時間帯しかネットが接続できないようにしたり、セキュリティフィルターといって、事前に設定したカテゴリのサイトを見れなくしたりなど。以下は例になります。
MACアドレスフィルター (Aterm)

こどもネットタイマー (ELECOM)

セキュリティフィルター (ELECOM)

()にはスクリーンショットのメーカーを書きましたが、他のメーカーでも同様の機能はサポートしています。この場合は、ルーターの管理者権限を持ったユーザーでないと確認できませんので、管理者ユーザーでアクセスし、該当箇所を修正してしてください。
【原因その5】PPPoEの認証情報が入っていない
フレッツ光の場合、基本的にPPPoE (Point to point protocol over Ethernet)接続になると思います。この用語に関して、要はID/パスで認証させないと繋がらないって思ってくれればOKです。モデム〜ルータ〜端末の接続の場合ならルーターに、モデム〜端末のルーター無し構成であれば端末にPPPoE認証情報を設定する必要があります。
ルーターの場合 (例:ELECOM)

端末(MAC)の場合

端末(Windows)の場合

この接続情報がはいっていない、もしくは間違っていないか確認し、間違っているのであればプロバイダから提供されている情報を元に正しく記入してください。
【原因その6】設定が間違ってなさそうなら、とりあえず再起動
接続機器がバグってる
ここまで確認して問題ない場合は、そろそろ設定の問題じゃなくなっている可能性があります。ここまで来るといよいよ端末壊れているじゃないかと疑うところです。端末の電源を一度リセットかけましょう。ほとんどの問題は再起動で直ると言いますが、正直再起動で直るのは、少数だと思っています。ましてや、このサイトを調べている時点で、とっくに再起動はかけているんじゃないかと。
でも宅内に複数の接続端末がある場合、もし一つでもネットが使えている場合は端末の異常が考えられますので、これで上手くいく可能性があります。あとは、端末の他の機能(ブラウザ以外のアプリなど)が正常通り動作しているかも確認ポイントになります。
ルーターがバグってる
接続端末を再起動してもダメな場合は、宅内の他のネットワークを疑いましょう。
前段で接続端末の動作は確認していると思いますので今度は、ルーター及びモデムを再起動をかけましょう。モデムなどは特にスイッチなどはないと思いますので、単純に電源ケーブルを抜いてしまいましょう。電源ケーブルを抜いた後は、数分待ってから再接続してください。
【原因その7】WiFiが干渉起こして接続不安定になっている
このケースでは、接続が全く繋がらないわけではなく、繋がったり切れたりを繰り返す場合です。
繋がっているということは、設定などには異常はないはず。あとはWiFiなどの場合は、干渉という問題が原因である場合があります。
電波が弱い場合
WiFiの周波数は、2.4GHzと5GHzが使えるようになっています。一般的に5GHzの方が速度が速いですが、あまり遠くまで届かない。2.4GHzの方が比較的に遠くまで届くという特徴があります。
もしルーターの近くでは繋がるけど、離れると不安定になる場合には、2.4GHzで試してみてください。
干渉が発生している場合
干渉が発生しているかどうかの判断はなかなか難しいです。WiFi Analyzerのようなアプリで、どれぐらいのWiFiのSSID及びチャネルが使われているかを確認するのも一つの方法です。基本的にWiFiルーターの場合、周りの状況を見て、チャネルを自動選択してくれるのですが、自分で空いているチャネルを確認して、設定した方が安定するケースもあります。チャネルを指定する方法はルーター側で行います。

その他に2.4GHzは、ISMバンドと言って、産業用無線通信で自由に使って良い周波数帯になります。その為、Bluetoothや、電子レンジ、無線式マウス/キーボード、コードレス電話などで使われている周波数帯になります。それぞれ干渉を緩和するための技術を仕込まれているのですが、残念ながら完璧ではありません。もしルーターからの距離が近くても、接続が不安定になる場合は5GHzに変えてみるのも有効です。
因みに最近のルーターは2.4GHz/5GHzのそれぞれにSSIDが設定出来ます。なので、WiFiを接続する際にどちらかを選んで接続することができます。
【原因その8】プロバイダで障害が起きている
ここまで来てもまだネットに繋がらない場合は、もう宅内の設備のせいじゃないと言えると思います。つまりモデム以降(宅外機器)の不具合の可能性があります。先ず1番簡単に調べる方法は、プロバイダが公開している接続不具合情報です。
フレッツ光の場合は
https://flets.com/customer/const2/
https://www.nttdocomo.co.jp/hikari/construction/
So-netの場合は
https://www.so-net.ne.jp/emerge/
ここで自分の地域が不具合が発生しているのであれば、プロバイダの問題の可能性が高いです。なので、プロバイダに接続不良の連絡をしてみましょう。

【原因その9】戸建/マンション内でケーブルが切れてる
正直マンション内でケーブルが切れるケースは少ないと思います。
ケーブルが切れている場合は、二重化でもしていない限りは全くインターネットが繋がらないので、即プロバイダに連絡してください。
但し、正直ケーブルが断線しているかどうかはわかりません。こちらで、できることは設定を確認したり、もしくはパソコンからPingなどを打ってみて全く接続ができなくなっている場合には、このケースも考えられます。
いづれにしてもプロバイダに連絡して、状態を確認してもらうのも良いでしょう。
【原因その10】宅内の光終端スイッチとモデムの間で接続不良を起こしてる
この場合は厄介なケースが多いです。接続は出来るんだけども、繋がったり、繋がらなかったり、接続が数秒間どけ切れたりする症状です。体感する現象としてはWiFiの干渉に近いんですが、あれと違うのはIPアドレスは、しっかりと取得出来ているということです。端末にIPアドレスが取得出来ているということは、少なくともルーターまでは接続が出来ているとも言えます。
確認する手段は、他にもあるかもしれませんが、ここではコマンドターミナル(MAC)、コマンドプロンプト(Windows)を用いた方法を紹介します。
Windowsの場合のコマンドプロンプトの起動方法

Mac OSの場合のコマンドターミナルの起動方法

ルーターまでの接続を確認する
ルーターのIPアドレスは、使っているルーターにもよって変わりますが、基本的に前のIPアドレスの確認方法で記載のあるDNSアドレスがルーターにIPアドレスになることが多いです。もしくは、自分のIPアドレスの第4オクテットが、xx.xx.xx.1の場合がほとんどです。(例:192.168.12.1)

ここで接続が上手く行かない&接続が不安定な場合はルーターまでの接続が問題です。ルーターとの接続が無線の場合には、前段の手順を試してください。それでもダメな場合は、端末とルーターの接続を有線に変えて下さい。有線の場合のルーターとの接続は100%成功するはずです。ここで全くルーターから接続が返って来ない場合には、ルーターの設定でPing応答しない設定になっているかもしれないので、管理者権限でルーターにログインして、チェックを外して下さい。
インターネットへの接続を確認する
ルーターの接続に問題がない場合には次はインターネットへの接続なんですが、インターネットであればどこでもいいです。しかし世の公開されているサーバはセキュリティのために基本的に外部からPingに応答しない設定になっているので、テスト用のPingを受け入れてくれる寛大なサーバを指定する必要があります。ここではGoogle DNSサーバ(8.8.8.8)を指定しています。

ここで確認すべきなのは、Pingの応答がどの程度成功するかです。基本的にPingは100%成功することが普通です。Pingが成功しないということは、どこかでパケットが落ちてしまっている可能性があります。パケ落ちしている例として以下を見てください。

ルーターの問題の場合
モデム〜ルーター端末の接続でこの現象が確認できる場合には、一度ルーターを外して、モデム〜端末でケーブルを直結しても同じ症状か確認して下さい。(PPPoE認証情報を端末に設定するのを忘れずに)それで改善するのであればルーターの問題です。
ルーターのファームウェアを最新版にアップデートするか、ルーターを再起動して下さい。これで改善しない場合、ルーターのハード異常もしくは、ソフトのバグ、あるいは端末とルーターの相性が悪いという可能性があります。ここまでくるとこれ以上の確認は出来ないので、保証期間内であればメーカーに問い合わせて、対応してもらうしかありません。
ルーターの問題じゃない場合
モデム〜端末の接続で症状が改善しない場合は、正直どこに問題があるのかわかりません。わかっている現象は、宅内ではなくモデム以降(宅外機器)に問題があるということです。モデムの問題かもしれませんし、宅内スイッチもしくはマンション内の終端スイッチの問題かもしれません。
私が過去二回この現象に陥ったときの問題はどちらもモデムの異常でした。一つ目の原因はモデムの故障。そしてもう一つ目の原因はモデムとマンション内の終端スイッチとの相性が悪く、稀に異常動作をする。どちらのケースを自分ではもう解決出来ませんので、大人しくフレッツ光/ドコモ光などのプロバイダに連絡しましょう。
ただ少なくとも私は引越して先々でこの接続不良の問題に直面し、モデムを交換してもらっていますので、おそらく他の人も気付いていないだけで、似たような現象が起きているんだと思います。
【原因その11】特定のアプリだけがインターネットに接続できない
最後はちょっと番外です。特定のアプリ、サービスなどで接続が出来ない場合です。通常のインターネットは使えるのに、このアプリだけ動かないといったケースです。
接続端末(Windows/Mac OS)の問題
ファイヤウォールの設定が上手くいってない可能性があります。なので、一度ファイヤウォールをオフにしてもう一度試してみてください。これで上手くいく場合にはファイヤウォールの設定が間違っているので、アプリの要件に基づいて見直しください。切り分け後にはファイヤウォールをオンに戻すことを忘れずに。

ルーターの問題
P2Pのゲームなどではポートの開放をルーターに設定する場合があります。UPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)に対応しているルーター/アプリであれば、ルーターの設定でUPnPをオンにしてください。でもこれは実はあまりセキュリティ的にはよろしくないので出来れば、個別にポートの開放を指定した方が良いです。

アプリの問題
最後は単にアプリのバグの可能性があります。最新版にアップデートして、もう一度試してください。それでもダメな場合は、メーカーに問い合わせられる場合は問い合わせて、フリーソフトの場合は、作者に依頼して対応してもらうか、諦めるしかありませんね。
あとがき
今回は「DNSサーバが応答しない」時に考えられる原因とそれぞれの対処方法について解説しました。
一言でインターネットの調子が悪いと言っても、本当にいろんな原因があるので、簡単に治るものでもないのがインターネットというやつですね。
そんな時は今回説明した方法を1つずつチェックしてもらうと、状態が改善もしくは解決の糸口が掴めるんじゃないかと思います。
では、皆さんもお試しあれ。

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