未成年の子供の確定申告はやるべきなのか?
そもそも確定申告とは、所得税の調整という意味合いがあるので、そもそもの所得がない16歳未満の子供の場合は、調整する収入がないので、そもそも確定申告自体する必要がありません。
しかし確定申告した方が子供の税還付を受けることができるケースが2つあります。
1つ目が株式での取引損が発生したケースです。保護者が子供の口座で、子供の資産運用をした場合に、損失を出してしまった場合は、確定申告を行うことで、その後3年間での損失分の税還付を受けることができます。
そして2つ目が未成年口座での株式に係る所得の場合は、確定申告をした方がお得に税還付を受けることができます。
2つの方法とも通常の確定申告の方法とほぼ一緒ですが、手順を1つずつ紹介していきたいと思います。
今回の作業のまとめは、以下のような感じになります。
・その他、源泉所得は0のままで、何も申告しない
・未成年の所得税は非課税
・ジュニアNISAでの損益申告はできない
・翌年度以降も確定申告しないと税還付されない
未成年でも基礎控除38万?
未成年が株の確定申告をする大きなメリットの一つが「基礎控除」を使用する節税テクニックです。
基礎控除とは全ての国民が受けられるものになっており、一律38万円までの所得は非課税になるということです。ここで少し疑問に思うのが、子供の口座で取引をした株式利益もこの基礎控除で無税にできるのでは?と思うかもしれませんが、株式の場合は「分離課税」という課税方法になっているので、子供の口座であろうが、譲渡損失がでた利益に関しては課税されるので、注意してください。
注意:76万円以上の売却益の場合は親の税金が上がる可能性が!
確定申告の際に注意したいのが、未成年の所得がある一定の金額を超えてしまうと、親の扶養から外れてしまい、親の税金が上がってしまう(控除額が減少)可能性があります。
子供が16歳以上の場合には、38万円(売却益76万ー基礎控除38万円)以上の利益を未成年口座で出してしまう場合には、扶養控除の対象外となるのでご注意ください。
年齢 | 区分 | 控除額 |
---|---|---|
16歳以上19才未満 | 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 |
19歳以上23歳未満 | 特定扶養親族 | 63万円 |
国税局の扶養控除
e-Taxでの確定申告手順
先ずは子供の確定申告に必要な書類等を整理します。
- 本人確認書類(マイナンバーカードもしくは通知カード+保険証など)
- 特定口座年間取引報告書
本人確認書類については、マイナンバーカードがあれば、両面コピーの提出でもいいですが、子供の場合、マイナンバーカードを作っていないケースがほとんどだと思います。その場合、通知カードの表面のコピーと、保険証の両面コピーで代用することができるので、そちらの方が簡単で良いかもしれませんね。
因みにマイナンバーカードを持っていれば、e-Taxでの申告も可能なので、作成するのも無しではないかなとは思います。
特定口座年間取引報告書の取得
特定口座取引年間報告書については、証券会社から送付されてくるものですが、電子交付の設定をしている人であれば、証券会社のウェブページからダウンロードしていきます。
以下は大和証券の例になります。
あとはダウンロードしたものを印刷しておけば準備OKです。
また電子交付ではなく、郵送での設定にしている場合には、郵送で来たものを使えますのでこれは操作する必要はないですね。
因みに特定口座以外では、一般口座の設定をしている人もいるかもしれませんが、その場合は、全て手入力で記入していきます。
e-Taxで確定申告書を作成
書類の作成は国税局のe-Taxで簡単に作成できますので、こちらを今回は使います。
今回申告するものは、上場株式の損失のみです。源泉徴収票もありませんし、所得も0円ということになります。e-Taxでのフォーマットは基本的に会社から給与をもらっている人を対象に作られているので、少しわかりづらいんですが、要は損失だけ記載すればいいわけですね。
先ずは提出方法を選びます。今回はマイナンバーカードもないですし、ID&パスワードもないので、印刷したものを書面提出する方法で行います。
申告するものは所得税として選択します。
ここの区分では当てはまるものは何もないですが、フォーマットとしては「給与・年金の方」が使えるので、これを使います。もしくは一番右の「お分かりにならない方」を選んでもいいですが、色々選択するものが多くなるので今回は使いません。
所得の種類を選ぶところが出てきますが、何もチェックせずに「上記以外の所得(事業・不動産・配当など)がある方はこちら」をクリック。
以下の画面で「配当」をクリック。
ここで株式の譲渡益・配当・損失などを入力していきます。課税方法は、今回は「総合課税」を選択していますが、今回のような未成年で所得が0の場合は、「分離課税」でもどちらでもいいですが、損失を申告する場合には「配当等がない」を選択できませんので、こちらは選ばないでください。
そして「特定口座年間取引報告書の内容を入力する」を選択します。
ここは、事前準備で印刷した特定口座年間取引報告書の内容の通りに転記します。
そして最後に昨年からの損失繰越控除があったかどうかを選択し、ある場合は昨年の繰越金額を入力して、ない場合は「いいえ」を選んでおしまいです。
申告金額があっているかどうか確認したら、これで申告内容は終了となります。「翌年度以降に繰り越される上場株式などに関わる譲渡損失の金額」部分が、今年税金が還付される金額なりますので、得する金額というわけですね。
これで記入内容は終了となりますので、あとは名前・住所・マイナンバーなどを記入して、印刷して税務署に提出すれば、確定申告は終了となります。
また来年度以降に譲渡損益が出た場合には確定申告をしないと、今回税控除として申告した分が還付されないので、来年以降忘れずにやっておきましょう。
添付資料は本人確認書類のみ
添付資料に関しては、平成29年分から大幅に簡略化され、「特定口座年間取引報告書」などの確証提出は不要になりました。そのため、郵送にて送付する場合でも送るものはe-taxで作成・印刷した書類と本人確認書類(マイナンバーカードもしくは通知書+乳児医療証など)だけでOKです。
但しその際、申告に係る各種確証については自宅で5年間保存する必要があり、何か問題があった際には提出できるようにしておくということになっています。
未成年でもマイナンバーカードは発行できる
因みに新生児でもマイナンバーカードを作成できるって知ってましたか?
マイナンバーカードはしっかり申請さえ出せば、特に年齢よる発行制限はありません。そのため、例え新生児であっても、身分証と写真を提出すればマイナンバーカードを発行できます。
因みに子供の場合は運転免許証やパスポートなどを持っていないケースも多いと思います。その場合でも誰もが必ず持っていて身分証として使用できるのが「乳児医療証」になります。
乳児医療証と通知カード、そして少しキレイに撮った証明写真などがあれば、未成年でも簡単にマイマンバーカードを発行できますよ。
翌年の繰越確定申告
上記の方法で譲渡損失の繰越ができたのであれば、翌年は同じ手順で確定申告しましょう。
「上場株式に係る譲渡損失の金額を繰越した方」という部分で今度は「はい」を選択しましょう。
1年前の損失額を記入します。(因みに去年の確定申告書付票を確認し、昨年分が⑤になり、一昨年⑧になります。)
今年に譲渡益が出ているのであれば、正しく繰越控除ができていることが確認できるはずです。
ジュニアNISAでの損失は申告できない
一つだけ注意しなきゃならないのは、ジュニアNISA口座で損失を出してしまったパターンです。NISAでの特徴として、譲渡益が出た場合に税金がかからないということがあるんですが、デメリットとして譲渡益と損失の損益通算申告ができないということがあります。
これはNISA口座での譲渡益はないものとして見なされる一方で、損失についてもないものとして見なされるためで、今回のような繰越申告などは一切できないので注意してください。
あくまでも特定口座もしくは一般口座での取引損のみが申告対象になります。
まとめ
如何でしたでしょうか?未成年口座を使った株取引での節税テクニックについて紹介してみました。
未成年口座での譲渡損失は少し特殊なケースかもしれませんが、16歳未満の未成年で株取引で損失を出してしまった場合は、翌年度の売却益がどうなるかわかりませんので、念のため申告しきましょう。
税金はなるべく余計に払わないのが基本なので、子供の口座の分も忘れずに申告しておきましょうね。
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