この記事では、スマホ保険について、本当に契約する価値があるのか、メリットがあるのかないのかについて調査レポートと、数学的な計算を元に検討してみました。
年々高額になっていくスマートフォンですが、機能が増えるのは良いんですが、それに応じて本体価格は高くなり、さらには故障した時のリスク(修理費用)もどんどん増えてしまっていて困りますよね。
そういった修理費用の負担リスクのために、メーカー延長保証やスマホ保険などもあるんですが、それって本当に契約する価値があるのか?と疑問に思ったことってありませんか?
今回はそんなスマホ保険の価値について実際の調査レポートを用いて計算してみました。

さて、結果は如何ほどに?
スマホ保険とは?
スマホ保険とは、普段みなさんが使っているスマートフォンが、メーカー保証期間外に、万が一破損や故障してしまった場合の修理費用を補填してくれるものです。
保険と聞くと、車の保険や、医療保険を思い浮かべるかもしれませんが、年々高額になっていくスマートフォンなどのモバイルデバイスにも保険をかけるという人が増えています。
今は特に格安SIMなどの契約が当たり前になっており、端末と回線を別々に購入する人が多く、そういったキャリアの保証が受けられない人には便利なサービスになっています。




スマートフォンが故障する確率をアンケートから抽出する
今回スマホ保険の必要性について、計算する手法ですが、ディシジョンツリー(意思決定)などフレームワークでも使われる期待値を利用します。(期待値:その事象が起こる確率を考慮した平均値)
つまり、2年間の間の故障する確率と支払う修理費用を加重平均で計算することで、「修理費用の期待値」を算出します。
先ずは、統計情報からスマートフォンが故障する確率を調べてみます。


項目 | 人数 | 全体からの割合 |
---|---|---|
全体数 | 12,451 人 | ー |
故障経験数 | 3,949 人 | 32 % |
実際に修理した人 | 2,768 人 | 22 % |
画面割れ修理の数 | 554 人 | 4 % (2割だと推定) |
その他の修理の数 | 2,214 人 | 18 % (8割だと推定) |
これによると、今までスマートフォンを使用している中で、故障した経験がある人は32%で、その中でも実際に修理した人は22%ということがわかりました。
また故障の内訳についても、修理費用が変わる分類として、画面割れとそれ以外で分類してみます。正確にはそれ以外の中にはバッテリー劣化も一部含まれる可能性はありますが、バッテリー劣化は、故障ではないので、この数字には含まれていないと仮定します。
つまり今回の試算では以下の確率を使用します。
画面割れの破損を起こす確率:4%
それ以外の故障を起こす確率:18%
因みにMM研のレポートでは期間の指定がないですが、過去2年間と限定した他アンケートレポートをみても確率的にはそこまで変わらなかったので、今回はそのままこの数字を使います。
また画面割れとその他の故障の割合に関しても、同じくMMD研のレポートから抽出しています。
2年間の内にスマートフォンの修理費用の期待値を計算する
それでは、前項で調べた破損・故障確率と、実際の修理費用を使って、修理費用の期待値を算出します。
先ずはiPhoneを例に修理費用を確認してみます。
(AppleCare+保証対象外) | その他の修理 | 画面の修理 | バッテリー交換料金 |
---|---|---|---|
iPhone 16 Pro Max | 123,800 円 | 56,800 円 | 19,400 円 |
iPhone 16 Pro | 105,800 円 | 50,800 円 | 19,400 円 |
iPhone 16 Plus | 96,800 円 | 50,800 円 | 19,400 円 |
iPhone 16 | 87,800 円 | 42,800 円 | 19,400 円 |
iPhone 15 Pro Max | 114,800 円 | 56,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 15 Pro | 105,800 円 | 50,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 15 Plus | 96,800 円 | 50,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 15 | 87,800 円 | 42,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 14 Pro Max | 107,800 円 | 56,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 14 Pro | 99,800 円 | 50,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 14 Plus | 92,400 円 | 50,800 円 | 15,800 円 |
iPhone 14 | 83,800 円 | 42,800 円 | 15,800 円 |
iPhone SE (第3世代) | 44,000 円 | 19,400 円 | 11,200 円 |
スマホ保険を検討するような人は、基本的にAppleCare+などの保証は入っていないと思うので、入らなかった場合の修理費用を用いて、今回はiPhone 16で計算してみることにします。
この数字を使って修理費用の期待値を計算すると以下の通りになります。
2年間で画面割れを起こす期待値
・画面割れの確率:4% x 修理費用 42,800 円 = 1,712 円
2年間でその他故障を起こす期待値
・その他故障の確率: 18% x 修理費用 83,800円 = 15,084 円
スマホ保険の2年間の費用負担額
次にスマホ保険の費用がどの程度かかるか調べてみたいと思いますが、今回はセゾンカードでのスマホ保険「月300円」を計算で使ってみます。
月額費用 | 300円 |
年間費用 | 3,600円 |
2年間でのコスト | 7,200円 |
つまり2年間で支払う保険料の総額は、7,200円ということになりますね。
因みにセゾンカードのスマホ保険の場合は、携行品保険という外出時に持ち歩くもの全てが補償される保険になっています。なので、正確にはスマホ以外の故障についても補償されることになりますが、今回はあくまでもスマートフォンのみの故障に限定して考えます。






【結論】2年間で1万円以下のスマホ保険なら契約する価値はある
では、計算の結果をまとめてみますと、以下のような感じになりますね。
画面割れ | その他故障 | |
---|---|---|
2年間の修理費用の期待値 | 1,712 円 | 15,084 円 |
2年間の保険料負担(セゾンの場合) | 7,200 円 | 7,200 円 |
差額 | ▲ 5,488 円 | + 7,884 円 |
2年間の間にスマホ保険に一切入らなかった場合の修理費用の期待値は、1,467円〜15,084円ということになるので、2年間で15,000円以下のスマホ保険であれば、計算上は契約するメリットはあるということがわかりました。
さらには今回はスマートフォンだけの故障リスクのみを計算しているので、携行品保険のようにスマートフォン以外の持ち物の故障リスクも計算すれば、保険の数字上のメリットは大きくなるんじゃないかと思います。
但し、「10人中3人もスマートフォンを壊すわけない」という意見もあるかもしれませんが、今回の計算は、あくまでも統計的な故障状況の数字を用いた計算結果になるので、実際の故障・破損する確率は違ってくると思いますし、さらには紛失・盗難といった数値は今回の計算には含まれていません。
では、皆さんご参考あれ。
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