この記事ではTP-LinkのWi-Fi6ルーター、ArcherシリーズからArcher AX72についてレビューしていきたいと思います。
TP-LinkのWi-Fiルーターというのは正直少し気になっていたものの、実際の実力などが未知数であったために、少し敬遠していたのですが、今回実際に触る機会をもらえたので、ガッツリと調べてみたいと思います。
TP-Link(ティーピーリンク)とは?
先ずはTP-Linkとは?というところから始めていきますが、正式にはTP-LINK Technologies Co., Ltdという名前の会社で、中国のハイテク産業都市でお馴染みの深圳に拠点を置く会社になります。
主に小規模な店舗や、個人向けのネットワーク機器を製造・販売している会社になります。
特徴としては、コスパの良いWi-Fiルーター、メッシュWi-Fiを数多く販売していることですね。
TP-Link製品については、以下の記事にてまとめています。
Archer AX72の外観
先ずはArcher AX72の外観を確認していきましょう。
カラー展開はブラックのみで、表面はメッシュのような模様がしています。真ん中の部分だけが、ツルッとしたプラスチック形状で、この部分に関しては少し指紋が目立ちそうな気がします。
AX72の外部アンテナは6本になっており、背面に4本、側面に2本というような感じです。
背面には、ギガビットイーサネットポート(1Gbps)がWAN1ポート、LAN4ポートあるので、これだけあればメインルーターとして使う分には十分なポート数を言えそうです。
またArcherシリーズで特徴的なのが、物理的な電源ボタンがあるということです。
通常ルーターとなると、電源ケーブルの抜き差しでON/OFFを管理していることがほとんどだと思いますが、TP-Linkのルーターの場合には、電源ボタンで電源を操作することが可能です。
またLEDのオンオフ、WPSなども物理ボタンで操作できるのも意外と便利ですね。
またAX72に側面にUSB3.0のポートが1つあるので、これを使って、簡易的なNAS(Network Access Storage)サーバのようにも使うことができます。
ただあくまでも簡易的なサーバ用途になるので、大容量のファイル読み込み・書き込みを行う場合にはNASを使った方が便利だと思います。
AX72の設置方法は、平置きもしくは壁掛けの2つに対応しています。
形状としては平置きにすると、比較的大きな面を占有してしまうので、壁掛けの方が便利に使えそうな気がします。
AX72のサイズは、カタログ値で272.5 × 147.2 × 49.2mmになっており、普通に平置きで設置すると比較的大きい感じの印象を受けます。
アプリで簡単セットアップ
TP-Linkのルーターの特徴の一つにアプリでの設定がとても便利なことが挙げられます。
通常ルーターを設定するためには、ブラウザにIPアドレスを入力をして、必要な設定をしていくことがほとんどですが、TP-Linkのアプリを使うことで、Wi-Fiルーターの設定が簡単に進めることができます。
因みにTP-Linkのアプリは複数ありArcherシリーズ用のTetherアプリと、メッシュWi-FiのDecoシリーズ用のDecoアプリがあります。
なんで同じメーカーで複数のアプリが存在しているのかは謎ですが、基本的にはどちらかしか使わないと思うので、そこまで不都合はありませんね。
セットアップはTP-Link Tetherアプリから進めていきますので、以下からアプリをダウンロードしていきます。
TP-Link Tether
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TP-Linkのスマートデバイスを初めて使う場合には、まずはTP-Linkアカウントから作成していきます。
そのためTP-LinkのスマートカメラTapoなどで、既にアカウントを作成済みであれば、同じものが使えるので注意してください。
ここからは基本的にアプリのフロー通りに進めていけばほとんど迷うことはないですが、途中でWi-Fiの接続を変える(ルーターに接続する)ところだけ注意しましょう。
アプリを開いて右上の「+」マークをクリックし、デバイスを追加しましょう。
デバイスの種類は「ワイヤレスルーター」→「スタンダードルーター」になります。
ここでは、ルーター側の接続準備を行なっていきます。
具体的には電源を入れることと、ケーブルをWANポートに挿していきます。
準備ができたら、スマホの設定画面に切り替えて新しいWi-Fiルーターに接続しましょう。
SSIDは初期設定のままになっているので、「TP-Link-xxxxxx」のような感じになっているはずです。因みに「xxxx_5G」とついてあるのもありますが、ここでは関係ないので、どちらでも良いです。
それではあとは初期設定を進めていきます。
先ずはルーターの細かい設定をするためのアカウントパスワードの作成です。
次の設定は以下の通りに進めていけばOKです。
- 接続タイプ:自動検出されたものをクリック
- MACアドレス:変更しない
- スマートコネクト:オンにして、SSIDを適当なものに変更(例:TP-Link-Archer-xxxxxxx)
- 自動アップデートを有効にする
因みにスマートコネクトというのは、別名バンドステアリングという技術で、2.4GHzと5GHzの接続を動的に切り替えてくれるものです。
便利な機能ではあるので、ONにしておくことをお勧めします。
これで全ての設定が完了しました。
実際のスペックはどれぐらい?
それでは、ここからはArcher AX72を実際に自宅の環境でどの程度のカバレッジ、スピードが出るのかを試してみたいと思います。
我が家の環境は、2LDKの50平米なのですが、モデムポートの部屋とパソコンを使う書斎が対角線に位置している関係で、Wi-Fiルーターとパソコンの間に多数の壁や障害物があるという少し過酷な環境です。
ただこの環境で十分で使えるようであれば、ほとんどマンションでの使用に耐えられるかと思います。
遅延/速度の実測値
先ずはネットワーク遅延についてですが、こちらはほとんど問題ないですね。
5ms以下であれば、体感で気づくような遅延はありません。
実測値 | TP-Link Archer AX72 |
---|---|
レイテンシー (PC-ルータ間) | 4.84 ms |
Wi-Fi速度** | 42.9 Mbps |
速度に関してですが、5GHzが比較的速度の速いバンドを使用できていますが、Signal(電波の強さ)が少し低くなってしまっている関係で、速度が本来のスピードも出せていないことがわかります。
速度としては、42.9 Mbpsなので十分な速度とは言えますが、NAS読み込み&書き込み速度を考えるともう少しスピードが欲しいと思うところです。
カバレッジを計測してみる
次にカバレッジを見てみましょう。
Wi-Fiミレルというアプリを使って自宅内の電波の強さを計測しています。緑が電波が強く、黄色→赤というように電波が弱くなっていくことが見えます。
この結果をみると、5GHzの電波も比較的カバレッジとしてはとれていますが、左上にある書斎になると2.4GHzであったとしても、カバレッジが取れづらくなっていることがわかりますね。
Archer/Decoシリーズとの違いは?
ここではTP-Linkの他のWi-Fi6ルーターと今回のArcher AX72の立ち位置を確認してみます。
Archer AX90 | Archer AX72 | Archer AX53 | Deco X90 | Deco X50 | |
---|---|---|---|---|---|
イメージ | |||||
クラス | ハイエンド | ミドルエンド | ミドルエンド | ハイエンド | ミドルエンド |
対応バンド | トライバンド | デュアルバンド | デュアルバンド | トライバンド | デュアルバンド |
Wi-Fi速度 | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2 : 1201Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:4804Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2 : 1201Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps |
アンテナ数 | 8本 | 6本 | 4本 | 4本(端末用) 2本(メッシュ用) | 2本 |
接続デバイス数 | 100台 | 80台 | 42台 | 200台 | 150台 |
CPU | 1.5GHzクアッドコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU | デュアルコアCPU | 1.5GHzクアッドコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU |
有線ポート | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×1 (WAN/LAN) ギガビットポート× 3 (LAN) | ギガビットポート×1 (WAN) ギガビットポート× 4 (LAN) | ギガビットポート×1 (WAN) ギガビットポート× 4 (LAN) | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×1 | ギガビットポート×3 |
USB対応 | USB 3.0 ポート × 1 USB 2.0 ポート × 1 | USB 3.0 ポート × 1 | – | – | – |
カバレッジ (A〜D評価) | A | B | C | A+ (メッシュ) | A+ (メッシュ) |
参考部屋数* | 3LDK ~70平米 | 2LDK ~50平米 | 1LDK ~40平米 | 戸建 3階建 | 戸建 3階建 |
価格帯** (1個) | 25,000 円 | 13,500 円 | 9,000 円 | 25,801 円 | 13,800 円 |
**価格は2022年6月時点のもの。最新価格は価格をクリック。
Archer AX72は、全体の中ではミドルクラスに位置をしていますが、同じくミドルクラスのAX53と比べるとややスペックが高いというような印象です。
また電波のカバレッジが取れる強さに関しても、マンションの部屋全体をカバーするのには必要十分といった感じになります。
OneMesh(中継機)なのか、メッシュなのか?
Wi-Fiルーターを選ぶときに悩むポイントとして挙げられるのが、メッシュなのか中継機なのかということだと思います。
最近は中継機とは言えども、TP-LinkであればOneMesh、BuffaloなどではEasyMeshなどの技術を使って、同じSSIDで家全体をカバーできるようにもなっています。
そうなってくると、益々メッシュWi-Fiと中継機の違いが分かりづらくなってくるのですが、簡単に言えば直列接続ができるかどうかだと思っています。
中継機の場合には、並列接続と言って、メインルーターと中継機は必ず直接繋がらないといけないようになっています。
並列接続 | サテライト ← メインルータ → サテライト |
直列接続 | メインルータ → サテライト → サテライト |
直列接続ができるというのは、例えば1階がメインルーターで、2階にサテライト、3階にサテライトのような接続ができるようになるので、それだけ接続の自由度が増すことになります。
なので、簡単に言えば3階建ての家でメインルーターが1階に設置しているような家であれば、メッシュWi-Fiの方が使いやすいと思っています。
https://simple-was-best.com/tp-link-deco-x50/
まとめ|2LDK〜50平米にちょうどいい
今回はTP-LinkからArcher AX72についてレビューしてみました。
- ミドルクラスのスペックとしては十分
- 接続できる台数は80台というスマートホーム向き
- 2LDKのマンションにちょうどいい
- 設置場所によって電波が届かないエリアも
全体としては、このレベルのルーターが2LDKでは必要最低限かなというのが僕自身の印象です。Wi-Fiルーターというのはどれだけ処理能力が早くても結局のところカバレッジが取れていないと、ほとんど使い物になりません。
いくらハイエンドのWi-Fiを一つ持っていたとしてもカバレッジが取れていないのであれば、ミドルエンドクラスのWi-Fiで中継機/メッシュでカバーした方がよっぽど使いやすい思いますよ。
それではみなさん是非参考にしてみてください。
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