以前にも書きましたが、毎年のように新しいWi-Fi規格が出てきますが、なかなか壊れるものでもないので、買い替えのタイミングが測りづらいのが無線LANルーターです。
最近だとWi-Fi7が最新の規格で、iPhone16シリーズが全機種Wi-Fi7対応としたのはこの界隈(Wi-Fi界隈)で割とHOTな話題でしたよね(?)
今回は、比較的新しい無線LANルータであるWi-Fi6E対応のTP-Link AX5400と、新製品のWi-Fi7対応のBE450(Amazon専売モデル型番)/BE7200を提供いただき両方を同時に使うことができました。
仮に、今Wi-Fi6E対応ルーターを持っていて、iPhone16など対応製品を持っているのでWi-Fi7が気になってきた方の参考になるような目線でレビューしていきたいと思います。

外観の比較|同程度の大きさ 縦置き×壁付け可能でコンパクトなのに高性能なのは変わらず
両製品の写真を並べてみました。角度が若干違いますが、大きさは以下の通り
- BE450 : 奥行 165 ×幅 50 ×高さ 210 mm
- AXE 5400 : 奥行 189 ×幅 59 ×高さ 200 mm
ほぼ同じですが、若干AXE5400が奥行きがあって、BE450が高い程度でしょうか。


背面のポート類の比較
BE450には、LANポートが3つ、WAN/LANポートが2つで、それぞれ10Gポート1つと2.5Gポート1つが備わっています。また、USB3.0端子がついておりHDDなどを接続できる仕様です。
対する、AXE5400にはLANポートが3つ、WAN/LANポートが2つで、それぞれ2.5Gポート1つと1Gポート1つが備わっています。USB3.0端子はなし。
外部HDDを使って、USB接続で簡易NASとしたい方や、プリンタのネットワークプリンタ化をしたい方は、BE450が良さそうです。


Wi-Fi速度の比較|Wi-Fi7環境では大きな差
両方のルーターを使って、スピードテストを2種類行いました。
- 使用機器はWi-Fi7対応のiPhone16
- Wi-Fi7の機能であるMLOの有り無しでスピードに違いが出るのか気になったので、一回目のテストではBE450のMLO機能は切ってあります。
インターネット速度
1つ目は、Fast.comのスピードテスト。
向かって左がAXE5400で右側がBE450です。

こちらはBE450の方が若干早い結果です。
ちなみに、回線環境はフレッツ光の1Gbpsプラン(IPv6プラス)になります。
Wi-Fi 速度計測
次は、I-O DATAから出ているWi-Fiミレルというアプリを使用した速度計測結果です。
インターネット速度、Wi-Fi速度ともに大きく差が出ました。

向かって左がAXE5400で右側がBE450です。
インターネット速度は時間帯が異なるため、参考程度にしていただければと思いますが、体感的に違いがわかるくらいサクサクになったのがわかります。(個人の感想です)
Wi-Fi速度は圧倒的な差で倍近い速度差が出ています。
そもそも定格速度が倍半分違うので、計測結果もそれを実証する数値が出たということでしょう。
Wi-Fi カバレッジでの比較
同じく、Wi-Fiミレルでのヒートマップ計測結果。こちらも差が顕著に出ています。

BE450の方が2倍から3割程度いい数字が出ています。
これは、AXE5400が5GHzで最大2402Mbpsなのに対し、BE450が5GHz帯で、最大4804Mbpsと倍の速度が出るためこのような結果となっているものと思われます。
とはいえ、これは両方ともに電波強度がグリーン判定の中の話ですので、私の部屋(70m2クラスのマンション)の間取りの場合では両方ともOKと、差があるからどうこうのと言う話ではないです。
メーカーHPの仕様では、AXE5400は5LDK向け、BE450は3LDK向けとなっており、AXE5400の方が遠くまで飛ぶようです。
確かに、バルコニーでの受信結果は、AXE5400の方が良い数字が出ており、もっと広い間取り(80m2〜100m2など)の場合では、NG判定の範囲が出てくるのがBE450の方が早いのではと思われますので留意が必要です。
MLO(Multi-Link Operation)機能の確認
こちらは製品比較ではないですが、Wi-Fi7規格の目玉機能として、MLO機能というものがあります。
MLO(Multi-Link Operation)とは
MLOとは、簡単に言うと複数の無線帯域を同時に利用することで、通信速度の向上や安定性の確保を目指す技術です。
従来のWi-Fiでは、一つのデバイスが一度に接続できるのは一つの無線帯域(2.4GHzや5GHzなど)に限られていました。そのため、電波状況によっては速度が遅くなったり、途切れてしまったりすることがありました。
MLOでは、複数の無線帯域に同時に接続することで、これらの問題を解決します。例えば、2.4GHz帯と5GHz帯を同時に利用することで、それぞれが得意とする状況に応じてデータをやり取りし、総合的な通信速度を向上させることができます。また、一つの帯域で障害が発生した場合でも、他の帯域で通信を継続できるため、安定性も高まります。
MLOのメリット
高速化: 複数の帯域を同時に利用することで、理論上は最大通信速度が向上します。
安定化: 一つの帯域に障害が発生した場合でも、他の帯域で通信を継続できるため、安定性が向上します。
低遅延化: 複数の帯域を効果的に活用することで、遅延を低減できます。
MLOの活用例
- 大容量データの転送: 高画質な動画や大容量のファイルをスムーズに転送できます。
- VR/AR: 低遅延な通信が必要となるVRやARの体験を向上させます。
- オンラインゲーム: より滑らかなゲームプレイが可能になります。
つまりもっと簡単にいうと、MLOとは、複数の道路を同時に使って目的地に早く着くようなものです。
普段、私たちは一つの道しか使えませんよね。でも、MLOを使うと、複数の道(電波帯域)を同時に使えるようになるので、より早く目的地(データ)にたどり着けるようになります。
例えば、
- 高速道路と一般道を同時に使う: 高速道路は混んでいるけど、一般道は空いている場合、両方を使って目的地に早く着けます。
- 複数のトンネルを同時に使う: 一つのトンネルが混んでいる場合、別のトンネルを使えばスムーズに目的地まで行けます。
というような機能で、iPhone16もWi-Fi7に対応しており、MLOの有無でどの程度の差が出るのか確認してみました。
結果
よくわからず。筆者の環境ではMLOをオンにした場合、むしろ少し遅く感じました。(※個人の感想です)
画面の向こうでズコーっと頬杖をついた顎が落ちる音が聞こえてくる気がしますが、
私の環境では謳われているようなほどの有意なデータは取れませんでした。
むしろちょっと遅い気がしました。
スピードテスト結果
Wi-Fiミレルによるテスト結果です。


最高速度が、MLO切りの場合と比べ、約7割に落ちています。
ただ、前回悪かった玄関とバルコニーでは多少改善しているので、遠くまで届くようになったということでしょうか。
速度の出にくい2.4GHz帯の使用割合が増えたことで、相対的な絶対速度が落ちたような感じに見えます。
ただし、大容量通信やオンラインゲームなどでは優位性が出てくるかもしれません。
とにかく、私の調査環境では、あまり優位性があるように思えませんでしたので、MLO機能は切っておいた方が良さそうという少し残念な結果となりました。(十分早いですが)
機能面での比較|ほぼ変わらず。
機能を含めた総合的な比較を行いました。
結果としては、私の環境(3LDK以下、iPhone16などWi-Fi7対応機種)においては、BE450が優れているようです。
BE450 | AXE5400 | コメント | |
---|---|---|---|
製品画像 | ![]() | ![]() | |
規格 | WiFi-7 | WiFi-6E | |
Wi-Fi範囲 | 3LDK | 5LDK | 広い家ではAXE5400 |
周波数 | 5GHz、2.4GHz | 6GHz、5GHz、2.4GHz | |
WI-FI速度 | 5GB:4804Mbps 2.4GB:1376Mbps | 6GB:2402Mbps 5GB2402Mbps 2.4GB574Mbps | Wi-Fi7対応機種ではBE450の方が実用速度は高い |
スピードテスト結果 fast.com | 380Mbps | 320Mbps | iPhone16にて測定 BE450の方が高い |
Wi-Fiミレル | WI-FI速度:1810Mbps | インターネット速度 Down:317Mbps Up:371Mbpsインターネット速度 Down:64Mbps Up:248Mbps WI-FI度:846Mbps | BE450が圧勝 |
ヒートマップ結果 | ◎ | ○ | 70m2クラスの間取りでは、BE450が圧勝 |
バンド数 | 2 | 3 | |
ストリーム数 | 4 | 6 | |
10GビットWAN/LAN | 1 | 0 | |
2.5GビットWAN/LAN | 1 | 1 | |
1GビットWAN/LAN | 0 | 1 | |
LANポート数 | 3 | 3 | |
USB3.0ポート | 1 | 0 | USBポートに外部HDDを接続して簡易NASとしたい場合や、USB接続でネットワークプリンタ化をしたい方はBE450一択 |
Wi-Fi機能 | デュアルバンド MU-MIMO OFDMA エアタイムフェアネス DFS MLO(Multi-Link Operation)4K-QAM Multi-RU EasyMesh Alexa&Googleアシスタント対応 IoTネットワーク | トライバンド OFDMA エアタイムフェアネス DFS EasyMesh | |
金額 | Amazon | Amazon | |
コメント | WI-FI7対応モデルの中では6GHz帯が省略されているなど、性能は低めではあるがWi-Fi6モデルに比べしっかり世代間の性能差は感じられる。コスパ良し。 | WI-FI6E対応が欲しい場合におすすめ。安価に混信のほぼ無い6G Hz帯を使用できるメリットはある。 |
比較のまとめ|BE450に軍配
外観、速度面、機能面含めた総合比較を行ってきましたが、Wi-Fi性能についてスペック上の差の通り、私の環境では、顕著な差がみられました。
体感的にもAXE5400では、時々Wi-Fiが不安定になることがありましたが、BE450に変えてからは、そのようなこともなく、ネット閲覧速度も体感できる程度の違いがありました。
AXE5400の方がストリーム数が多いのですが、6GHzに振り分けられているのか、6Ghz帯が使えない環境ではあまり優位性を感じることもありませんでした。
BE450は、Wi-Fi7対応とは言え、6GHz帯を省略したり、規格上の最大通信速度である46Gbpsのうち7.2Gbpsまでしかスピードが出ないなど、次世代機に期待する機能面としては少し物足りないものもありますが、その分価格を抑えた製品となっており、Wi-Fi 7普及への戦略機としての性格を持っている製品だと感じました。
金額的にはAXE5400と比較してBE450は倍近い価格であるため、以下のような条件に当てはまる方は、BE450を選んだ方が長く使えて良いと思います。
- 集合住宅で70m2程度の間取り以下
- Wi-Fi7対応製品を持っている、または購入予定がある
- VRや4K動画など、帯域幅を大量に消費するコンテンツを快適に楽しみたい
逆に、AXE5400が良いと思われる方は以下のような条件かと思います。
- 戸建や80m2以上の間取り
- USB接続は必要ない
- 今後1~2年でWi-Fi7対応製品の購入予定はなく、最新のWi-Fi規格には拘らない
両製品ともにとても良い製品ですので、Wi-Fiの最新機能を重視するならBE450、コストパフォーマンスを重視するならAXE5400がおすすめとも言えるかもしれません。
購入検討の際には上記のような視点を参考にしていただけたらと思います。

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