数年に1回くるWi-Fi切替の波。
何を買えばいいかわからないけど、何も考えずにともかく最高でリッチなものが欲しい。
そんな怠惰で物欲にまみれたWi-Fiルーターが今回紹介するTP-Linkからの2022年12月1日発売の新製品Deco X95になります。
ちゃんとレビューしていきますよ!
Deco X95は以前のモデルX90からのモデルアップになります。
Decoシリーズのデバイスは、毎年少しずつスペックを上げて発表していきますが、今回のモデルは今までのモデルで地味に手が届かなかったなと思うところを着実にスペックアップして、さらに高速に、さらに使いやすくなったハイエンドメッシュWi-Fiとなっています。
- 自宅でゲームなどで高速通信を追い求める人
- 広い戸建/マンションであっても高速で安定した通信を求める人
- 店舗などでの広いエリアで、たくさんの台数をカバーさせたい人
TP-Link(ティーピーリンク)とは?
先ずはTP-Linkとは?というところから始めていきますが、正式にはTP-LINK Technologies Co., Ltdという名前の会社で、中国のハイテク産業都市でお馴染みの深圳に拠点を置く会社になります。
主に小規模な店舗や、個人向けのネットワーク機器を製造・販売している会社になります。
特徴としては、コスパの良いWi-Fiルーター、メッシュWi-Fiを数多く販売していることですね。
TP-Link製品については、以下の記事にてまとめています。
Deco X95の外観|高級感のあるパールホワイトルーター
それでは早速外観から確認していきたいと思います。
箱を開けてみるといきなり、短い丸太が2本入ってるかのようで少しびっくりしました、これがDeco X95になります。
カラー展開はホワイトのみで、白はどちらかというか少しラメが入っているようなパールホワイトと言った感じになります。
色味としては白だけど、かなり高級感のある配色です。
以前のM5やM9 Plusを思わせるような巻いたようなデザインになっています。
X50では上部の蓋部分のみが渦を巻いていましたが、X95は側面から全体的に渦巻いていますね。
また上部に少しだけ広がっていくようなフォルムになっています。
同封物に関しては、いつもながらシンプルですね。
本体以外には、AC電源ケーブルと、LANケーブル1本のみなります。
背面を見てみると、2.5GbEが1ポート、ギガビットイーサが2ポートの合計3ポートに対応しています。
因みにWAN(インターネット側)ポートとしては、2.5GbEポートでもギガビットイーサポートでもどちらでも利用可能です。(自動判別)
電源ポートは、本体底になります。
一瞬どこにあるかわからなかったのですが、ひっくり返したところに電源ポートを挿して
そのまま置けば綺麗に電源ケーブルを格納させることが出来ました。
Deco X95のメリット
それでは、Deco X95を実際に使ってみて感じたポイントをいくつかピックアップして解説していきたいと思います。
トライバンド対応のメッシュWi-Fi
先ずはトライバンド対応になります。
そもそもトライバンドとは、Tri(3つ)+Band(周波数帯)という名前の通り、3つの周波数帯を同時にサポートするということです。
- 2.4 Ghz
- 5 GHz-1 (W52/W53)
- 5 GHz-2 (W56) ← Deco間のバックホール専用
そもそもバンドが増えるというのはどういうことかというと、一言で言えば「データを通る道が増える」ということです。
無線というのは目には見えないのですが、内部では2.4GHzであれば14ch、5GHz (W52/W53)であれば8chのようにチャンネル数に上限があり、このチャンネル毎にWi-Fiデバイスがぶら下がることになります。
そのため、接続する端末増えれば増えるほど、接続が混雑しますし、またメッシュWi-Fiを形成する場合には、ルーター同士の通信に関しても、同じ周波数帯を使うので、ますます混雑度が上がってしまいます。
トライバンド対応であれば、メッシュWi-Fiルーター間のデータを専用の周波数帯で繋ぐことで、ルーター間を高速に繋ぎ、さらにはバックホール回線分空いた複数のチャンネルをまとめて大量のデータを一度に送ることができるというわけです。
特に自宅にたくさんのスマートホームのデバイスがあるような方や、ゲーム回線のような高速で低遅延な無線通信をしたい方であれば、トライバンドというのはうってつけの機能になるわけですね。
- 自宅にたくさんの無線端末がある人(スマートホームデバイスなど)
- ゲームなどの高速大量通信を行う人
2.5GbEの高速ネットワーク
次のポイントは、2.5GbEの有線ポートを持っていることですね。
この2.5GbEとはなんなのかですが、通常のルーターで一般的についている有線LAN/WANポートが1GbE(ギガビットイーサ)なのですが、2.5GbEは単純に2.5倍の通信帯域を持っている有線ポートという意味です。
この帯域の意味ですが、例えばいくら無線通信が最大4.9Gbps対応なんて書いてあったとしても、所詮インターネットに出て行くときには、有線ポート帯域が上限になるので、一般的なルーターであれば1Gbpsが上限になってしまうわけですね。
特にNURO光のような最大通信速度2Gbpsを謳っているサービスを契約しているような人であれば、折角の2Gbpsの速度を自宅ルーターの有線ポートで、1Gbpsに速度を下げている可能性があります。
そのほかには、自宅のLAN内の通信であっても特にミドルクラス以上のNASであれば、2.5GbE有線ポートがあるモデルがあるので、そういったデバイスとのエンドツーエンド通信を高速化させられるというメリットもあります。
因みに同封されているイーサネットケーブルは、RJ45のCat.5eだと思うのですが、こちらはケーブルの規格としては100BASE-T(1Gbps)までの対応になっています。
ですが、マルチギガビットイーサネット(IEEE 802.3bz)という規格対応により、従来のCat 5eもしくは6であっても、それぞれ2.5Gbps/5Gbpsまでサポートするようになりました。
LAN用のギガビットイーサ2ポートで充実な有線環境
そして実はこれが地味に一番嬉しいのが、LAN用のギガビットイーサポートが2ポートついていることです。
自宅のホームルーターとして使用する場合には、何か有線接続しないとならない機器が多いものです。
以前のDeco X90のモデルだと、2.5GbE x 1、ギガビット x 1の計2ポートだけでしたので、ホームルーターとして使用する場合にはあまりにもポート数が少なすぎて、追加でスイッチングハブなどが必要となることもありました。
しかし3ポートあれば、どうにか運用上には回るようになってくるので、これが個人的には嬉しい部分になります。
もし自宅がNURO光のような2GbpsのWAN回線を持っているのであれば、WAN接続には迷わず2.5GbEと使った方がいいですね。
ポート | 用途 |
---|---|
2.5 GbE ポート | WAN接続 |
1 GbE ポート | NAS接続 |
1 GbE ポート | スマートデバイス接続(例:PhilipsHue) |
我が家の場合は、120MbpsのWAN回線なので、2.5 GbEをWANに使用するのは少々勿体無いですね。そのためLAN内のNASとの高速通信を実現させるために、以下のようなポート構成にしています。
メインルーター
ポート | 用途 |
---|---|
2.5 GbE ポート | NAS接続 |
1 GbE ポート | WAN接続 |
1 GbE ポート | スマートデバイス接続(例:PhilipsHue) |
サテライトルーター
ポート | 用途 |
---|---|
2.5 GbE ポート | PC接続 |
1 GbE ポート | 空き |
1 GbE ポート | 空き |
メッシュWi-Fi Decoシリーズとの比較
ここからはDeco X95について、スペック、速度、そしてカバレッジの3つの観点で他製品と比較してみたいと思います。
スペックで比較
先ずはスペックになります。
以下にDecoシリーズからハイエンド・ミドルエンド・ローエンドの端末で比較的性能が良いと思われるものをピックアップして表にしてみました。
X95 | X90 | X60 | X50 | X20 | |
---|---|---|---|---|---|
イメージ | |||||
クラス | ハイエンド | ハイエンド | ミドルエンド | ミドルエンド | ローエンド |
対応バンド | トライバンド | トライバンド | デュアルバンド | デュアルバンド | デュアルバンド |
Wi-Fi速度 | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2:1201Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *W52&53のみ 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:1201Mbps *W52のみ 2.4GHz:574Mbps |
内蔵アンテナ数 | 4本(端末用) 2本(メッシュ用) | 4本(端末用) 2本(メッシュ用) | 4本 | 2本 | 2本 |
CPU | 1.7GHzクアッドコアCPU | 1.5GHzクアッドコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU (X60 V3の場合) | 1GHzデュアルコアCPU | 1GHzデュアルコアCPU (X20 V4の場合) |
有線ポート | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×1 | ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | ギガビットポート×2 |
購入先 | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
やはり旧モデルからの大きな変更点である、トライバンドの高速化、CPUの向上、ポート数の増加の3つのポイントが進化していることがわかりますね。
特にポート数に関しては、地味ではあるもののメインルーターとして設置する場合には結構便利だったりする機能なので、ここはポイントですね。
またCPUに関しても、これがスペックが低いとどれだけ通信帯域が大きかったとしても処理速度が追いつかないわけですから、CPUがスペックアップすることも嬉しいポイントですね。
速度計測で比較する
次に速度を実際に測って比較してみます。
インターネット速度に関しては、サービスプロバイダとの契約次第になるので、今回はあくまでもLAN内での速度になります。
TP-Link Deco X95 | TP-Link Deco X50 | Buffalo AX5400 | |
---|---|---|---|
レイテンシー (PC-ルータ間) | サテライト: 3.55 ms メインルーター: 6.60 ms | サテライト: 7.06 ms メインルーター: 4.32 ms | 5GHz: 5.07 ms 2.4GHz: 5.40 ms |
Wi-Fi速度* | 約646Mbps | 約304Mbps | 5Ghz 約170Mbps 2.4GHz 約20Mbps |
今回の結果を見て、正直個人的にはめちゃくちゃ驚きました。
Wi-Fi速度がなんとX50 と比べて2倍以上!?
Deco X50は、ミドルクラスではあるものの、Wi-Fi6ルーターですし、さらには最大2.4Gbpsまでは速度が出るはずのものです。今回X95は、最大4.8Gbps出るとは言われていますが、正直そう変わらないと思いきや、2倍の結果となりました。
これはいくつか要因は考えられますが、1つは純粋にスペック上のストリーム数の違い(80 MHz < 160 MHz)もあるとは思いますが、それ以外にもトライバンドになったことにより無線チャネルがより多く空いて通信しやすくなったということも考えられるかもしれませんね。
Wi-Fiカバレッジで比較する
最後はWi-Fiカバレッジになります。
どれだけスペックが良くても無線が届かなければ、実用性がないので、無線が端末までしっかりと届くというのはかなり重要です。
今回比較したDeco X50に関しては、メッシュWi-Fiということもあるので、ほとんど穴はないのですが、一部メッシュの切れ目があったりする部分においても、X95の方が圧倒的にカバレッジが取れていることがわかりますね。
Deco X95のデメリット
これだけハイエンドなメッシュWi-Fiなので、機能的なところに関してはあまりデメリットはないのですが、強いてあげればここら辺がもう少しかなと思います。
サイズ感がでかい
届いて最初の第一印象がこちら。「デカい」
正直以前のDeco X50のコンパクトさが気に入っていた面もあるので、Deco X95の大きさには少しびっくりでした。ただサイズ感は旧モデルのX90と同じぐらいだと思います。
X50が小さな貯金箱だとすると、X95は花瓶ぐらいのサイズ感なので、置き場所には少し配慮が必要かと思います。
価格が高い
また金額面がかなり高いのもネックの1つです。
Deco X50は通常価格3万円程度になるのですが、X95は通常価格6万円程度になります。
ミドルクラスとの機能差に関しては、以下のようなところだと思いますが、これに倍のお金を支払えるかどうかが分かれ道になりそうです。
- トライバンドによる高速通信
- 2.5GbEによる高速通信
- カバレッジの安定
まとめ
今回はTP-LinkのDeco X95についてレビューしていきました。
- トライバンド対応でメッシュWi-Fi間の高速通信
- 2.5GbEポート対応
- ギガビットイーサと合わせて合計3ポート
- サイズはそれなりにあるので設置場所に注意
- コストが高い
全体的に感想としては、やはりポート数が増えたことによって、今まで他メーカーのハイエンドメッシュWi-Fiを選んでいた人にとって、今後比較検討の対象になることは間違いなく、さらにはこのスペックでこの価格帯であれば、十分にコスパという意味では成立しているWi-Fiルーターかと思います。
またDecoの特徴としては、比較的ミドルエンドクラスであっても高スペックなのにも関わらず安いというのもありますので、ホームルーターにX95、サテライトルーターにX50のような使い方もでき、そういった自由度の高さに関してもDecoルーターの特徴の1つかと思います。
それではみなさん是非参考にしてみてください。
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