さて、今回のルータはWi-Fi 6E規格対応です。
私の感覚では昨年、2022年にWi-Fi6規格(IEEE 802.11ax)が、一般的にも認知され、各社の最新ルータ製品でもWi-Fi6の各モデルが、やっと出揃ったばかりという印象です。
Wi-Fi 6Eについては、2022年9月2日に総務省が6GHz帯(5,925〜7,125MHz)の使用を認可しました。Wi-Fi 6Eは従来の2.4GHz+5GHzに加え、今までWi-Fiでは使っていなかった6GHz以上の周波数帯域を利用可能にすることで、より多くの接続を可能にし、干渉の少ない、快適なWi-Fi環境が期待できます。
正直、もうWi-Fi 6Eなの?という気持ちの方も多いと思います。Wi-Fi 6Eに対応したデバイスなんて持っていないし、まだ必要ないよ、という方もちょっとだけ待ってください。今回、TP-Link Decoシリーズから発売されたXE75は、まずはメインルータとサテライトルータ間を最新規格のWi-Fi 6Eで繋ぐもので、デバイスが6Eに対応してなくても、全然大丈夫です。
以下、XE75の特徴になりますが、トライバンド対応で、接続台数200台、最大カバー範囲500㎡、今ハイエンドモデルで買うなら、このXE75にしちゃっても全然良いと思います!

Wi-FI6Eってどんなものなのか?という方も、以下レビューを参考にしてみて下さい!
- 自宅でゲームなどで高速通信を追い求める人
- 広い戸建/マンションであっても高速で安定した通信を求める人
- 店舗などでの広いエリアで、たくさんの台数をカバーさせたい人

TP-Link(ティーピーリンク)とは?
先ずはTP-Linkとは?というところから始めていきますが、正式にはTP-Link Corporation Limitedという名前の会社で、中国のハイテク産業都市でお馴染みの深圳に拠点を置く会社になります。
主に小規模な店舗や、個人向けのネットワーク機器を製造・販売している会社になります。
特徴としては、コスパの良いWi-Fiルーター、メッシュWi-Fiを数多く販売していることですね。
TP-Link製品については、以下の記事にてまとめています。

XE75の外観 | どっしりした安定感
まずは、開封〜外観を確認していきます。まず、驚いたのは、箱が結構、大きいことです。その外箱からでも、そのWi-Fi 6Eの威力が伝わってくるような、迫力があります。

裏面には、Decoシリーズの「”高速Wi-FIでお家”を塗りつぶそう”」のキャッチコピーがあります。

さて、箱開けると、Deco XE75が2台、鎮座しているのが見えます。

同梱物はDeco XE75ユニット×2、RJ45 LANケーブル×1、電源アダプター×2、かんたん設定ガイドになります。

本体自体は思っていたほど大きくなく、重さがどっしりした印象です。角がない、シンプルな円筒形で、横にすると重心の位置によって、ゴロンと転がります。
子高さが16.9cm、円の直径が10.5cm、重さが609gとなっています。


本体側面は、サラサラとした手触りの、ホワイトカラーになっています。充電アダプターも本体と同じホワイトカラーで大きさもそれなりにあります。

上部には透明の保護フィルムが貼ってあるので、はがします。

裏面にはギガビットポート×3と電源ポートがあります。ギガビットポートはWAN/LAN自動判別のため、自由に配置することができます。

底面には、RESETボタンと、排気のためのスリットが開いており、正面方向にLED表示があります。

なんとなくそのルータ間の安定した速度を予感させるようなズッシリとした外観、重さです(あくまで個人の感覚)。
Deco XE75のメリット
メッシュWi-Fiの命ともいえるルータ間通信が「ド安定」
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi6規格の拡張版になります。ただ通信方式はこれまでのWi-Fi6と同じで、最大通信速度も9.6Gbpsと変わらず、新しい周波数帯の6GHz帯が使える以外の違いはありません。
ただ、Wi-Fiで20年以上に渡って長らく使われてきた2.4GHzと5GHz、それに追加で6GHzが追加される事で、ワイドな周波数帯をフレキシブルに使う事ができる。この影響力は大きいと思われます。
Wi-Fi6Eに関しては、個人的には9.6Gbpsという高い通信速度よりも、6GHz帯を占有して安定したメッシュWi-Fi環境を構築することで、デバイスがどこにいてもどっしり安定した通信環境が確保できるということがメリットだと思っています。
Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 7 | |
---|---|---|---|---|
IEEE規格 | 802.11ac | 802.11ax | 802.11ax | 802.11be |
最大通信速度 | 6.9 Gbps | 9.6Gbps | 9.6Gbps | 46Gbps |
対応バンド | 5GHz | 2.4GHz /5Ghz | 2.4GHz /5Ghz/6GHz | 2.4GHz /5Ghz/6GHz |
*Wi-Fi 7は2024年以降に実用化が検討されており、6GHz対応デバイスも2024年以降に本格的に普及してくるとみられています。
真のトライバンド対応メッシュWi-Fi
トライバンドとは、Tri(3つ) + Band(周波数帯)という意味で、これまでのトライバンドは、2.4GHzと5GHz-1(W52/W53)の2つの周波数帯(→デュアルバンド)に、ルータ間の通信(バックホール)専用にもう一つの5GHz-2(W56)帯を割り当て、3つの周波数帯として実現していました。
ただし、5GHz-1も5GHz-2も同じ5GHz帯のチャンネルなので、相互に干渉したり、集合住宅であればお隣さんの5GHz-2(W56)帯と干渉する可能性もあるわけです。
しかし、お気づきの通り、今回は先ごろ総務省に認可されたばかりで、まだほぼ手付かずの6GHz帯をルータ間の通信(バックホール)専用として、割り当てることができるので、他の電波帯と干渉することなく、さらに高速で低遅延な無線通信を実現することができるのです。
XE75の特徴 | 技術仕様 |
---|---|
規格 | Wi-Fi 6E IEEE 802.11ax(6GHz) IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
Wi-Fi速度 | XE75 6GHz:2402Mbps(802.11ax, HE160) 5GHz:2402Mbps(802.11ax, HE160) 2.4GHz:574Mbps(802.11ax) |
主な特徴 | AIメッシュ ハイゲインアンテナ×4(内蔵) トライバンド ビームフォーミング 2×2 MU-MIMO OFDMA 2ストリーム(2.4GHz)、2ストリーム(5GHz)、2ストリーム(6GHz) WPA3-Personal対応 HomeShield |
6GHz帯対応デバイスを接続させることもできる
Wi-Fi Allianceでは6GHz帯について、高画質動画のストリーミングやVRアプリもより身近に利用できるとしています。
まだ、2023年1月現在では6GHz帯に対応したデバイスがほとんどありませんが、今回のDeco XE75では設定でクライアント向けにも6GHz帯を開放し、接続させる事ができます。
手元にWi-Fi 6E対応デバイスがないので、テストすることができませんが、将来的にWi-Fi6E対応デバイスが増えてきた際に、どんな通信速度になるのか楽しみですね!
メッシュWi-Fi Decoシリーズとの比較
ここからはDeco XE75について、スペック、速度、そしてカバレッジの3つの観点で他製品と比較してみたいと思います
スペックで比較
先ずはスペックになります。
以下にDecoシリーズからハイエンド・ミドルエンド・エントリーモデルの端末で比較的性能が良いと思われるものをピックアップして表にしてみました。
XE75 | X95 | X50 | X20 | S7 | |
---|---|---|---|---|---|
イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
クラス | ハイエンド | ハイエンド | ミドルエンド | ローエンド | ローエンド |
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 |
対応バンド | トライバンド | トライバンド | デュアルバンド | デュアルバンド | デュアルバンド |
Wi-Fi速度 | 6GHz:2402Mbps 5GHz:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz1:4804Mbps 5GHz2:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:2402Mbps *HE160対応 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:1201Mbps *W52のみ 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:1300Mbps *W52のみ 2.4GHz:600Mbps |
内蔵アンテナ数 | 4本 | 4本(端末用) 2本(メッシュ用) | 2本 | 2本 | 3本 |
有線ポート | ギガビットポート×3 | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 |
購入先 | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
同じハイエンドのX95と比べると、端末用として使える5GHzの帯域が4804Mbpsに対して2402Mbpsであったり、メッシュ専用の内蔵アンテナはなく、内蔵4本のみだったりします。
しかしながら、これは新しい6GHz帯をメッシュ専用の帯域として使える事を考えると、あえてこういう仕様になっているのかな、と想像します。
価格で考えてもX95よりは8割程の価格に抑えられていて(2台セットの価格)、なおかつド安定のWi-Fi 6EのメッシュWi-Fiに対応しているので、決して高い価格ではないのかもしれません。
速度計測で比較する
次に速度を実際に測って比較してみます。
インターネット速度に関しては、サービスプロバイダとの契約次第になるので、今回はあくまでも私の環境下での値になります。
TP-Link Deco XE75 | TP-Link Deco S7 | TP-Link Archer AX55 | |
---|---|---|---|
レイテンシー(PC-ルータ間) | 平均1.00 ms | 平均1.00 ms | 平均2.00 ms |
Wi-Fiインターネット速度 (Google SpeedTest) | ![]() | ![]() | ![]() |
レイテンシはWindow10のPCでそれぞれルータに対してpingを打った値になります。OSの仕様上、1ms以下の遅延の値が見れないので、わかりづらいですが、1.00ms以下であれば通常使う分には問題なさそうです。
速度の方では、メインルータの真横で計測した結果では、Wi-Fi5のDeco S7の3倍以上の速度が出ました。Wi-Fi6のミドルクラスルータと比べても2倍のダウンロード速度が出ています。この辺は、Wi-Fi6Eの特徴より、ハイエンドクラスルータのCPUやアンテナ性能の違いなどが出ているのかな、と思います。
メインルータから遠い距離でも、速度を計測してみます。
- メインルータとサテライトルータ間は木造の壁を2枚挟む、直線距離 約5m
- すべてドアを締め切った状態
- 計測はサテライトルータにiPhone12miniを接続した状態

●地点での通信速度 | ●地点での通信速度 |
---|---|
![]() | ![]() |
ごらんの通り、寝室の隅や浴室などでも、かなり早い通信速度を出すことができました。これだけ早い通信速度が出せると、例えば寝室に置いたTVの4kストリーミング視聴であっても全く問題なさそうです。
Wi-Fiカバレッジで比較する
最後はWi-Fiカバレッジになります。
どれだけスペックが良くても無線が届かなければ、実用性がないので、無線が端末までしっかりと届くというのはかなり重要です。
TP-Link Deco XE75 | TP-Link Deco S7 | TP-Link Archer AX55 |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
今回比較したDeco XE75とS7は、ハイエンドとエントリーモデルということでスペックにはかなり開きがあるのですが、カバレッジに関してはどちらもメッシュWi-Fiの特性を生かして、まんべんなくカバーできています。
シングルルータでWi-Fi6のArcher AX55に関しては、ところどころ電波の弱い部分が出てきてしまっていて、いくらWi-Fi6でつながっていても、これだと使いにくい場所が出てきてしまいます。
ちなみに500㎡のカバレッジということで、玄関の外の屋外でも図ってみたのですが、Deco XE75とS7両方とも、ほとんどWi-Fiの電波を測定することはできなかったです。(コンクリの壁を検知して飛ばさない仕組みがあるのでしょうか)。
屋外まで電波が届いてしまうのは逆にセキュリティ的にも良くないので、これでいいです。
Deco XE75のデメリット
これだけハイエンドなメッシュWi-Fiなので、機能的なところに関してはあまりデメリットはないのですが、強いてあげればここら辺がもう少しかなと思います。
本体上部に跡がつきやすい
最初に設置した時には、気づかなかったのですが、一晩経ってみて本体を見てみると、下記の写真のように霜のような跡が付着していることに気づきました。
我が家の湿度の関係などもあるかもしれませんが、上部はツルツルとした表面なので、少し目立ちます。もちろん軽くクロスで拭けばきれいになるのですが、結構すぐついてしまう印象です。
この点は材質変更など何とかならなかったかな、と思いました。

まとめ
今回はDeco XE75をレビューしてきました。良かったポイントと気になった部分をまとめるとこのようになります。

- メッシュWi-Fiの命ともいえるルータ間通信が「ド安定」
- 真のトライバンド対応メッシュWi-Fi
- 6GHz帯対応デバイスを接続させることができる
- IPv4 over IPv6非対応
- 本体上部には跡がつきやすい
まだ、早すぎるかなと思っていたWi-Fi 6Eですが、使ってみてメッシュWi-Fiの生命線であるバックホールに、ほとんど手つかずの6GHz帯が使えることはかなり大きなメリットだな、と感じました。
それでは、皆さん是非参考にしてみてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
このモデルはIPv6 IPoEしてるだろ!いい加減な事を書くなよ
記事作成当初のファームウェアではサポートしていなかったのですが、最新のファームウェアでは対応したようですね。
https://www.tp-link.com/jp/support/faq/2383/
記事内容修正いたしました。